サービス

2023.08.14

独ユニコーンDeepLはグーグル翻訳とChatGPTに挑む

Shutterstock

翻訳サービスの「DeepL翻訳」を提供するDeepLの共同創業者でCEOのヤロスワフ・クテロフスキーは、ドイツ語とポーランド語、英語が堪能で、フランス語でコカ・コーラを注文することもできるが、彼のスタートアップが開発した翻訳ツールを使えば、約30の言語で読み書きができる。
 
2017年に設立されたDeepLは、パワフルな人工知能(AI)と人間のネイティブスピーカーの努力を組み合わせることで、グーグルなどのライバル製品よりもはるかに正確な翻訳ソフトウェアを開発した。同社が独自に開発したニューラルネットワーク・アーキテクチャは、ロシア語やスペイン語、イタリア語を含む31の異なる言語の膨大なデータベースで訓練されている。
 
対応言語数は、Google翻訳の130言語に比べると見劣りするが、DeepLの翻訳は、人間の編集者やネイティブスピーカーによってニュアンスの調整が行われている。ドイツのケルンを拠点とするDeepLは、20人の社内エディターと、世界各国の1000人以上の契約ベースの人間の翻訳者とネイティブスピーカーの手を借りて、コンピュータが生成した翻訳の品質を評価し、正確さを向上させている。
 
「カジュアルな文章もフォーマルな文章も翻訳するためには、多くの高品質な人間による翻訳データが必要なのです」とクテロフスキーはいう。
 
DeepLの月間アクティブユーザーは1000万人を超えており、そのうち50万人は月額9〜59ドル(日本では1200〜7500円)を支払う有料会員だ。同社の収益の大半は、メルセデス・ベンツや富士通、ドイツ鉄道などの約2万社の企業顧客からのもので、彼らはDeepLの翻訳ソフトを使ってウェブサイトのテキストから契約書、マーケティング資料などのあらゆるドキュメントを翻訳している。
 
Pitchbookのデータによると、DeepLは2023年1月のシリーズBラウンドで、約10億ドルの評価額で約1億ドル(約143億円)の資金を調達しており、その際の出資元には、Institutional Venture Partners(IVP)やアトミコ、ベッセマー・ベンチャーパートナーズなどの大手投資会社が名を連ねていた。クテロフスキーは、同社の累計の資金調達額を明らかにしていない。
次ページ > 日本語のネイティブの努力も貢献

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事