欧州

2023.08.10 09:00

ウクライナ軍、全海兵旅団を16kmの狭い範囲に集中投入

各2000人規模のウクライナの海兵旅団は、他国の海兵隊がするように強襲揚陸艦に搭乗して移動するわけではない。ウクライナ海軍は古い揚陸艦を1隻保有するだけであり、この艦船は最近はドニプロ川の河口付近に隠されている。

ウクライナの海兵隊はもっぱら陸上で戦う。彼らを海兵隊たらしめているのは、その編制や訓練、精神である。

海兵旅団は一般的な陸軍旅団よりも軽装備だ。陸軍の旅団は通常、装軌(キャタピラ)式の歩兵戦闘車(IFV)各30両を装備する3個大隊と、戦車30両を装備する1個完全大隊から成る。これに対して海兵旅団は、装軌式IFVと、それと同数かそれ以上の自走式IFV(いずれもIFVでなく装甲トラックということもある)を装備するのが普通だ。

戦車について言えば、海兵旅団は装備数10両ほどの1個戦車中隊しか置かれていないこともあるし、あるいは戦車をまったく保有しない場合もある。たとえば、ウクライナの第37海兵旅団の海兵隊員は米国製のM-ATV装甲トラックやフランス製のAMX-10RC偵察車に乗っている。戦車はもたない。

この軽さがスピードを生む。たしかにウクライナ軍は最近、多数の装軌式IFVと大量の砲撃やロケット弾攻撃に支援された、ゆっくりとした歩兵先行の攻撃にシフトしている。ウクライナ軍指導部はこうした戦い方によって、部隊が戦車やIFVを許容できないほど失うのを避けながら、ロシア軍の設けた地雷原や塹壕線を少しずつ突破していくことを期待しているのだろう。それでも、海兵隊はやはり海兵隊らしい戦い方をしている。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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