オーストラリアのデイリー・テレグラフ紙のインタビューで、マッカートニーはAIとビートルズについて「機械的なトリックのようなものであってもとてもリアルに感じる」と語った。
彼が特に言及したのは、2021年に公開されたドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ: Get Back』についてだ。ピーター・ジャクソン監督はAIを使って、ジョン・レノンのボーカルをバンドの過去の音源から切り離した。そのおかげでマッカートニーは、1980年に射殺されたレノンと、再びいっしょに歌うことができた。彼は、その瞬間が「映画の中で最も好きな部分の1つだ」と述べている。
「実際、自分の感情を抑えるが大変だった。圧倒された」と、マッカートニーはレノンのヴォーカルだけが聞こえるのを数十年ぶりに聴いたことについて語った。彼はまた、このプロセス全体を「マジック」と呼び「長い間死んでいた相棒が、ここに戻ってきて、またいっしょに仕事をしているんだ」と語った。
すべての人がAIの使用を歓迎しているわけではないが、マッカートニーにとってこれがいかに大きな意味を持つかは容易に理解できる。
AIを用いてビートルズを復活させる取り組みは、ドキュメンタリー映画だけではない。マッカートニーは6月のBBCの取材で、ジョン・レノンのボーカルを過去のレコーディングから「抽出」するためにAIを使用し、彼自身が「ビートルズ最後のレコード」と呼ぶ曲を仕上げるために使うつもりだと語った。その曲は今年中にリリースされる予定という。
音楽業界には、ビートルズからさらなる音楽が生まれるというアイデアを歓迎する人たちがいる一方で、AIの使用が、すでに亡くなったレノンの権利を侵害していると主張する人もいる。また、たとえビートルズの楽曲をもっと聴きたいとしても、マッカートニーが進める路線が正しいのかどうか確信が持てない人もいる。
マッカートニーは、古いビートルズの曲を仕上げるプロジェクトに加え、オーストラリアでの新たなツアーを準備中で、10月にシドニーやメルボルン、アデレードなどの都市でコンサートを予定している。
(forbes.com 原文)