今夏は特段の酷暑が続いているが、私たちには気温の他にもう一つ、戦わなければならないものがある。害虫だ。猛暑日が続くと虫たちも活発でなくなるというし、実際今年のセミはずいぶんと穏やかに感じられる。かと言って鬱陶しい羽虫がすべて無力化しているというわけではないし、既に虫刺されに悩まされている人も多くいるはずだ。とりわけ、これから休暇を用いてアウトドアに出かけようとしている人に虫対策は必須だろう。
「おにやんま君」
さて、現在アマゾンでベストセラーとなっている防虫グッズがある。それは殺虫剤でも、虫除けスプレーでもない。一種のフィギュアだ。名前を「おにやんま君」という。アマゾンは生きたトンボも取り扱い始めたのか? とでも誤解してしまいそうな、それほどにリアルなオニヤンマのフィギュアである。
メーカーによる説明は以下だ。
肉食とんぼ「オニヤンマ」 オニヤンマの主食は虫、虫の天敵はオニヤンマ。 だから虫が寄ってこない!
実に簡潔明瞭である。つまり虫たちを威嚇させ、自ら退かせることができるというわけだ。軒先に吊したり、衣服に装着することによって蚊やハエ、ハチといった羽虫が怖じ気づいて近寄らなくなるのだ。
このような機能を持つものとして、まず最初に思いつくのが「かかし」である。ただし「かかし」の効果は一過性でしかない。田畑を荒らす鳥獣は初めて「かかし」と遭遇すると確かに一旦は警戒するものの、すぐに学習して怖がらなくなってしまう。
類例を挙げればきりがない。一昔前は塀沿いに水を入れたペットボトルを並べ、軒先にCDを吊るしている家が散見された。ペットボトルには野良猫除け、CDにはハト除けの効果があると信じられていたからだが、実際にはどちらも都市伝説に過ぎなかった。
では「おにやんま君」はどうだろう。「かかし」等と違い、恒常的な効果が見込めるのだろうか。
先に挙げた「かかし」等と、「おにやんま君」の大きな相違点は、対象とする生き物である。決して虫たちをバカにするつもりはないのだが、毎夜毎夜性懲りもなく街灯に群がっている蚊柱などを見かけると、「おにやんま君」を本物と見間違えて退散してくれるのではないかと期待してしまう。
購入者の評判も上々だ。カスタマーレビューを見ると、この類いの商品としては(失礼ながら)実際に効果を感じられたという評価が多く見受けられる。