武田さんの話を聞いて、そのジャパンバージョンをイメージしました。日本という軸でジャンルの違うものが繋がる場所みたいな感じかなと。
武田:ジャパンっていうともうひとつ大きな枠になりますよね。そうすると、自分のコミュニティと、自分とは違うと思っていたコミュニティが、ジャパンという枠の中では同じに見えてくる。それってけっこう大事ですよね。
EASTEAST_というアートフェアをやっていて思ったのですが、普段は全然違う活動をしているアーティストたちでも、年に1回とか2回とか集まっていたらひとつのコミュニティになる可能性があるんだなって。ジャパンという切り口は、枠組みを大きくするという意味ですごく勉強になりました。
中道:日本にはまだたくさん可能性がある。だけどそれをちゃんと伝えきれていない。物事は伝わって初めて価値になるのに。そこが日本の一番の問題で、「伝わるでしょ」と思っている。伝えないと伝わらないですよ、特に外国の人たちには。
日本の魅力を可視化して理解してもらうことはとても大事で、その時にクリエイティビティが超大事になる。そこをつなぐ人たちがいるといいな、そういう風になってほしいなと思いながら武田さんのお話を聞いていました。
武田:おっしゃるとおりですが、僕自身は伝えるのは苦手で課題です。
中道:いま海外から来た人たちが日本のいいところをピックアップしていますよね。結果、日本は自分たちの価値を下げ、彼らに機会を明け渡しているわけです。これは何とかしなければいけません。
武田:そうですよね。何とかしなければいつの間にかなくなってしまいますよね。日本にも良いものをつくる縫製工場や素材メーカーがありますが、そういう工場はどんどん海外のメゾンブランドに手をつけられています。そういう産業や文化のレベルを国としてしっかり維持するみたいな話はとても面倒ですけど必要だと思っています。
僕自身、伝えるのはあまり得意ではありませんが、流通させる人たちを支えるための場を作ることはすごく意識しています。先ほどお話したEASTEAST_も、アーティストに直接フックするというより、ギャラリストなどの中間にいる人たちをまとめて、そこに力をつけていくことをテーマにしています。本当に今が日本の文化を支えられる最後のフェーズなんだろうなという危機感を持ってやっています。