音楽

2023.08.09

グーグルと米音楽業界大手、「AI楽曲」のライセンスで協議

人工知能(AI)が生成した音楽が物議を醸す最近のトレンドを受けて、グーグルとユニバーサル・ミュージック・グループは、アーティストの声やメロディを使ってAIが生成した楽曲のライセンスに関する、初期段階の交渉を行っている。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が8月8日、関係者の話として報じた。

ドレイクやアリアナ・グランデ、テイラー・スウィフトなどのアーティストと契約を結ぶユニバーサル・ミュージックとグーグルは、音楽ファンが合法的にアーティストのディープフェイク楽曲を作成できるツールを開発し、著作権所有者に対価を支払おうとしている。アーティストには選択権がある。

FTによると、ワーナー・ミュージック・グループも同様の製品についてグーグルと話し合っているという。

ワーナー・ミュージックのロバート・キンセルCEOは、8月8日の決算説明会で、「適切な枠組みが整えば、音楽ファンがユーザー主導のコンテンツを通じて、彼らのヒーローに究極の賛辞を贈ることができるようになる」と述べていた。

アーティストの声やメロディを用いてAIが生成した楽曲に関しては、音楽業界の一部から反発の声があがっている。ドレイクは今年初め、自身のAIボイスがフィーチャーされた楽曲が注目を集めたことに不快感を表明した。スティングも、「将来的に人間とAIの間で戦いが起こるだろう」とBBCのインタビューで語り、自身はAIが作る楽曲に全く魅力を感じないと述べた。

一方で、AIが生成する音楽に理解を示すアーティストもいる。イーロン・マスクの元恋人であるグライムスは、自身が印税の50%を受け取ることを条件に、誰でも「ペナルティなしに」彼女の声を使って曲を作っていいと発表した。ポール・マッカートニーは、AIを用いて古い音源からジョン・レノンの声を取り出して未発表曲を完成させ、「最後のビートルズのレコード」として年内にリリースすると発言した。

AIによって生成された音楽に対する規則や制限は、ここ数カ月で増加している。ユニバーサルミュージックは4月にストリーミングサービス各社に書簡を送り、AIプログラムの学習に著作権のある歌詞やメロディーが使われることを防止するよう要請した。

米国著作権局は3月のガイダンスで 、人間が作った作品のみが著作権保護の対象となり、機械によって創作された作品は登録しないと発表した。

グーグルは5月、テキストのプロンプトから楽曲を生成する実験的なAIツールを発表した。メタも今月初め、同社が権利を所有する2万時間に及ぶ楽曲を学習に用いた独自の音楽生成AIツールを発表している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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