アマゾンの幹部は先週、同社のStripeとの決済提携拡大を発表した。この契約により、Stripeは巨大なクラウドコンピューティングプラットフォームであるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)にも参加することになる。
戦いの舞台はクラウドの中にある。投資家はアマゾン株を注視すべきだろう。
Stripeの中核はインフラ事業だ。アイルランドのダブリンに本拠を置くこの企業は、3%程度の手数料で、他の企業がオンラインでデビットカードとクレジットカードの支払いを処理するのを助ける。企業がStripeのAPIをウェブサイトに追加すれば、顧客は支払い情報を入力し、支払いを行うことができるようになる。主要な競合相手である PayPalとは異なり、Stripeでは購入者がサードパーティアカウントを登録する必要はない。
StripeAPIが決済の不便さをなくし、帝国が誕生した。
創業者であるパトリックとジョン・コリソン兄弟は、アイルランドのドロミニアという人口200人足らずの田舎町で育った。兄弟は数学と科学に秀でた学生で、後にMITとハーバードに進学した。2009年にeBayの出品者が商品を管理するソフトウェアツール、Auctomatic(オートマチック)を創業。そのAutomaticは10カ月後に500万ドル(約7億1700万円)で買収され、続いてコリソン兄弟はStripeの構築を始めた。
2009年の金融危機後、多くのスタートアップが登場したが、これらの新しいデジタルビジネスは、急速に拡大するためにAPIを利用していた。StripeAPIは瞬く間に、ライドシェアビジネスのLyft、オンラインストアホストのShopify、その他オンライン注文を処理しようとする何百もの小規模企業にとって不可欠なものとなった。資本の豊富なベンチャーキャピタル投資家もすぐに後を追いかけた。
2016年の資金調達ラウンドでは1億5000万ドル(約215億円)を調達し、評価額は92億ドル(約1兆3200億円)となった。ウォールストリートジャーナルの報道によれば、この投資はアルファベットの投資部門であるCapitalGが共同で主導した。
アマゾンが1年後にStripeと密かに提携したとき、アナリストたちは興味津々だった。ブルームバーグの報道によれば、アマゾンとの合意により、Stripeはeコマースプラットフォーム上の「非公開ながら多くの取引」を処理することになった。
今、その戦略的取引はより大きくなり、より理に適ったものとなっている。