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2023.08.17 13:00

俳優・赤楚衛二 苦しい時期を越えた今感じるやりがいとは

そんなドラマには、多様な価値観を持った人々の姿が描かれていて、「そこが見どころの一つ」と赤楚は言う。

「10年前から恋愛の価値観が止まっている向井くんが、いろんな女性と出会って恋愛をしていく。そのなかで、現在の女性の価値観や考え方を知って、向井くんの恋愛観や結婚観が、アップデートされていくんです。それは、いまの時代に必要なことだなって思います。

作品が取り上げた多様な価値観、それは持続可能な社会においても必須なもの。いっぽう、赤楚は冒頭のコメントにあるとおり、身の回りの些細なこと、自分なりにできることで、SDGsに臨んでいる。

「食品を買うとき悩むのは、野菜など食材を買ってきても余らせてしまうのではないかということです。一人暮らしだと、どうしても、1回の食事では使いきれない。それでも、余った食材をなんとか使い切るよう努力しています。作り置きというよりも、またさらに新しい食材を調達してきて、余った食材と合わせて、新たなメニューを考える。そんなふうにして、食材は無駄にすることなく、使い切るようにしています」

プライベートでは、古着を愛用している。

「古着のいいところは、他人と被らないところですかね。あとは、ちょっとクタッとなったところとか、少し傷があるところも、趣を感じるというのか、ちょっと格好いいなと、思うんです。僕は着なくなった服を基本、全部弟にあげています。ただ、弟のほうが僕より体が大きいので、サイズが合わない服は地元の友だちに譲ったり。服を捨てることは、ほぼありません」

いまや、出演作が目白押しの赤楚だが、かつては、なかなかオーディションを突破できない、苦しい時期も経験した。そんなとき、胸中にあったのは「ある約束だった」という。

「僕を支えたもの、それは親との約束です。僕は親に『役者をやるから東京に行かせて』と、お願いして上京しました。だから、途中で挫折してしまったら、その約束を破ることになってしまう。その思いだけが当時の僕を支えていたと思います。

苦しい時期を越え、いま感じている俳優のやりがいは、『明日、学校頑張ろう』『楽しかった、仕事頑張れるわ』『家事とか子育て、頑張ろう』って、見てくれた人たちの明日の活力になっていると思えたときに実感します」

そして、赤楚に、いま苦しい時期を過ごしている、すべての人たちに向けたメッセージをリクエストすると、「難しいですね」と前置きし、何度も何度も言い淀みながら、最後にこう言って柔らかな笑みを浮かべるのだった。

「自分がやってきたことは自分で認めてあげよう、ってことでしょうか。『夢を持つことは、素敵なことですよ』と言ってあげたいです」


赤楚衛二◎1994年3月1日生まれ、愛知県出身。2017年に仮面ライダーシリーズ「仮面ライダービルド」(EX)に出演。その後、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020)、主演ドラマ「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」(2020/TX)が2022年に映画化もされ注目を集める。主な出演作品に、連続テレビ小説「舞いあがれ!」(2022/NHK)、2023年「風間公親-教場0-」(CX)、「こっち向いてよ向井くん」(NTV)など。主演を務めるNetflix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』が8月3日より配信スタート。

文=仲本剛 写真=秋倉康介 撮影場所=ITOCHU SDGs STUDIO

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