このハッキングは米国の国家安全保障局(NSA)によって2020年秋に発見されたという。中国の人民解放軍のハッカーらは、日本の自衛隊の計画や能力、軍事的欠点の評価にアクセスするなど、深く執拗な情報収集を行っていたと、複数の米国の元高官がポスト紙に語っている。
報告を受けたNSAと米サイバー軍のトップのポール・ナカソネ陸軍大将と、当時ホワイトハウスの国家安全保障副顧問だったマシュー・ポッティンジャーが東京に急行して防衛大臣に説明を行い、首相にも伝えたとポスト紙は報じている。
このハッキングはトランプ政権下で始まったが、バイデン政権下でも続き、2021年には日本の防衛システムへの侵入が続いていることを示す新たなデータが発見され、情報漏洩が続いていることが発覚した。日米の両国は最終的に、日本の民間企業の手を借りて脆弱性を評価することに合意し、米国のNSAとサイバー軍のチームがその調査結果を確認し、情報漏洩を防ぐ方法について提言を行ったという。
フォーブスは、国務省にコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。
「これは衝撃的なほどに酷い情報漏洩だった」とポスト紙の取材に応じた元米軍関係者は語っている。
日本の政府関係者は、ネットワークセキュリティを強化するために、今後5年間で自衛隊のサイバーセキュリティ部隊を4000人規模にすると述べている。さらに、ネットワークを24時間365日監視するサイバー司令部を発足させ、5年間で70億ドル(約1兆円)をサイバーセキュリティに費やす計画だと日本の防衛関係者はポスト紙の取材に語った。
「今回のハッキングにおける日本の当局の対応の遅さは、米国が同盟国である日本と共有する情報の量を減らすことにつながるかもしれない」と米政府関係者はポスト紙に語った。
(forbes.com 原文)