そして今、デフレの影がちらつく中国は、日本というレンズを通して見られている。日本の場合、経済の足枷となったのは、銀行セクターを圧迫した膨大な不良債権だった。中国の場合は、不動産セクターが抱える問題が、需要や建設活動、全体的な自信の低下につながっている。
中国にフォーカスした香港の調査サービスGavekal Dragonomics(ギャブカル・ドラゴノミクス)のアナリストは、こう述べている。「中国では、不動産と建設が直接的・間接的に中国GDPの約20%を占めている。これを踏まえて、このセクターの停滞によって、日本が1980年代末のバブル崩壊後に陥ったようなバランスシート不況に向かうおそれがあるとの観測がなされている」
不動産セクターのバランスシートは「売上低下や、需要の構造的停滞によって収縮している。さらに信用収縮により、デベロッパーは、完成済みの物件に続く新規プロジェクトの予約販売を実施できなくなっている」と、先の分析は続く。
「近年の経済全体に占める不動産セクターの重要性を考慮すれば、需要全体に深刻な打撃が生じるだろう。したがって、中国の経済停滞の原因は、1990年代の日本とは異なるものの、その影響は、最終的にかなり似たものになるかもしれない」
中国人民銀行の新行長(総裁)である潘功勝は、アジア最大の経済圏である中国が「日本化」するという、多くの人々が懸念する道を回避する役目を担っている。我々が日本から学んだ(そして、日本がまだ学んでいる最中の)教訓は、対症療法ではなく、問題を根本的に解決しなければならないということだ。
中国が日本と同じ道をたどるかどうかは誰にもわからない。ノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンなどは、中国が日本以上に深刻な不況に陥ることを懸念している。確実に言えるのは「日本化のリスク」を抱えているのは日本だけでなく、中国も同じということだ。
(forbes.com 原文)