アジア

2023.08.08 09:00

中国のスキンケアブランド「Fuerjia」創業者がビリオネアに

安井克至

Tom Wang / Shutterstock.com

中国のスキンケアブランド「Fuerjia(敷尔佳)」の創業者のチャン・リグオは先日、深圳の株式市場に同社を上場させて、ビリオネアの仲間入りを果たした。しかし、中国経済の成長の鈍化と熾烈な競争は、1枚3ドルの美容マスクの販売を成功させた同社の業績に影を落としはじめている。

フォーブスは、Fuerjiaの84%を所有する59歳のリグオの保有資産を28億ドル(約3970億円)と算定している。中国の東北部の都市ハルピンに本社を置く同社は、8月1日に深圳証券取引所に上場し、22億元(約510億円)を調達した。

Fuerjiaの目論見書と地元メディアの報道によると、リグオは、黒竜江省の病院に薬剤師として勤務した後、ハルピンの国営製薬会社を経て1996年に会社を設立。当初は、感染症や脳出血などの病気の症状を緩和する注射薬を販売していたが、2012年にスキンケア分野に参入。2014年に初のフェイシャルマスクを発売し、保湿効果や肌の回復を早める効果などをアピールした。

Fuerjiaは、アリババのTモールなどのオンラインチャネルでの販売だけでなく、中国で急成長している美容医療業界や個人病院向けの大規模な流通網を構築した。目論見書によると、1枚約3ドルの美容マスクに牽引された同社の昨年の売上は2億4600万ドル、純利益は1億1800万ドルに達した。Fuerjiaは2021年に「Huihuxi」と呼ばれる新たなスキンケアラインを立ち上げている。

ただし、同社は課題にも直面している。広州の調査企業iiMedia Researchによると、中国の規制当局は美容医療業界に厳しい監視の目を向けており、人々が自分の容姿に不安を抱くような広告を取り締まっているという。Fuerjiaはまた、Giant BiogeneやBloomage Biotechnologyなどの企業が所有する競合ブランドとの熾烈な競争にも直面している。

同社は、目論見書の中で、熾烈な競争が最大のリスク要因であることを認め、新規顧客の獲得においても「高まる困難」に直面していると述べている。Fuerjiaはまた、当局の新たな規制によってコンプライアンスコストが上昇する可能性があると指摘した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事