なぜなら、多くの企業では、キャリアアップは口先だけのスローガンにすぎないためだ。筆者が創業したコンサルティング企業Leadership IQ(リーダーシップIQ)が行ったアンケート調査「Career Growth Or Stalled Progress(キャリアアップか、停滞か)」では、現在の職場でキャリアアップの道筋が見えている人は19%しかいないことがわかった。また、「自分の成長やキャリアの進歩にいつも満足している」と答えた従業員はわずか18%だった。
人材募集をしている管理職に対して、会社が用意しているキャリアアップの機会について尋ねることはできるし、そうすべきだ。段階的なキャリアマップの詳細情報が得られることが望ましいが、この質問への回答が「皆の成長を望んでいる」という曖昧な言葉だけだったとしても、驚かないこと。そのような場合、3つの人事指標を提供するよう依頼しよう。
1つ目は「昇進率」で、これは特定期間内に昇進する従業員の割合を示す一般的な指標だ。昇進はキャリアアップの重要な側面だが、必ずしも正式な昇進を伴わないキャリアアップの道もある。例えば、新しいプロジェクトや責務を担うとか、単調な仕事から離れ、より大きな自律性を手に入れるといった道だ。しかし、応募した企業にこの指標があり、共有してくれるのであれば良い兆候だ。
昇進率ではなく、昇進所要時間(従業員が昇進するまでにかかる平均的な時間)や社内異動率(既存従業員によって欠員が補充される割合)といった少し異なる指標を使っている企業もある。これらも、キャリアアップに対する企業のコミットメントがわかる指標だ。
2つ目の指標は「後継者育成計画カバー率」で、社内の重要な職務のうち、後継者育成計画が存在するものの割合だ。この指標は、社内での成長と昇進に対する企業のコミットメントを示すものといえる(ただし、どちらかといえば、「昇進がキャリアアップの主な手段である」という前提に基づく指標と言える)。