マネー

2023.08.16 08:30

経営者、起業家、識者に聞く。人生100年時代の「人とお金の新しい関係」

イラストレーション=トミー・パーカー

数百万ドルで手に入れた挑戦する「自由」

ナイジェル・カンバーランド|作家、リーダーシップコーチ
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約20年前、人材系の会社を数百万ドルで売って、私の人生は大きく変わった。その会社は、独立後、香港で中国人のパートナーと6年間やっていたものだが、毎月のキャッシュフローやビジネスの将来など、心配ばかりだった。そういった不安から解放され、新しいことに挑戦する自由を手に入れたときだった。

その後、成功者たちについての本の執筆を開始し、ビジネスリーダーのリーダーシップコーチングやメンタリングを学び、事業として始めることができた。始めたばかりのころの収入はわずかだったが、会社の売却費用が助けとなり、自分の夢や情熱を追いかけることができた。

人生の目標や目的を達成するにはお金がかかる。経済的な自由を手に入れることは重要だ。日々の支払いの不安から逃れてからこそ、思い切ったリスクを取ることができる。ただし、どれだけ資産があるかは、成功を表す指標のひとつにすぎないし、資産があるからといって必ずしも幸せになれるわけではない。
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長年、コーチングするなかで、起業家のお金との付き合い方を見てきた。ビジネスを売って大金を得ると、ある人は次のビジネスをすぐに始めて、リスキーな資金繰りの日々に戻る。ある人は度を超えた浪費を繰り返して身を滅ぼす。もちろん、ビジネスを売る前に、うまくいかなくなって、一文なしになってしまう人もいる。そのなかからうまく成功を収める人にはパターンがある。お金との付き合い方は重要で、幼少期の経験が影響を与えていることも多い。

私自身はイギリスのヨークシャーで幼いころを過ごした。自然に囲まれ、モノがあまりない環境がいまでも自分の原風景になっている。自分の性格として、たまにぜいたくをしても、お金を全部使い果たそうと思ったことはない。

新しいテクノロジーの登場で、お金を稼ぐことが簡単になったと考えている人も多いが、私はお金との付き合い方が急に変わるとは思わない。人間とお金との関係は、何百年も何千年も続いてきた。確かに最近では、経営者にとって事業資金を得るのは楽になったかもしれないが、日々の資金繰りの大変さは変わらない。予算管理をして、身の丈にあったお金の使い方を身につけることが、人生の成功には必要だ。


Nige Cumberland◎1967年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学卒。大手メーカーで財務部長を務めたのち、起業。企業幹部向けのコーチングを行う。著書に『成功者がしている100の習慣』(ダイヤモンド社)など。
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文=フォーブス ジャパン編集部、堤美佳子、三ツ井香菜

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