アマゾンによると、一部の商品を対象とした当日配達は、すでに米国の90都市圏で行われている。つまり、配達体制の強化がすでに進められており、消費者から好評を得ているということだ。当日配達の拡大は、従来の配送センターよりも利用者に近い小規模倉庫を通じて行われる。
アマゾンはこれを、配送ネットワークの「地域化」と呼んでいる。これにより走行距離と荷物の受け渡しが減り、コスト削減につながると主張している。
以前は、西海岸から東海岸のニューヨークへ商品が配送されることも多かった。だが今は、8つの地域が相互接続され、顧客への配送距離は今年だけでも15%短縮された。この新体制により、注文の76%が顧客の地域内で完結するようになった。
ワールドワイド・アマゾン・ストアのダグ・ヘリントン最高経営責任者(CEO)によると、当日配達施設では、注文された商品をピッキングし出荷用トラックに載せるまで、平均で11分しかかからないという。これは、従来の倉庫よりも1時間以上速い。
サプライチェーンコンサルティング会社MWPVLインターナショナルのマーク・ウルフラートによると、アマゾンは現在、5時間以内に注文に対応する9000~3万平方メートル規模のサブ・セイム・デイ(SSD)施設を48カ所で運営している。さらに4施設が建設中であり、今後3年間でこれが150カ所に拡大する可能性があるという。
当日配達は、アマゾンが競合他社と差別化する方法であることは間違いない。顧客は迅速な配達を好むため、経営陣は競争力を高める方法として、当日配達の拠点を増やす必要性を認識している。
フルフィルメントの地域化による迅速な配送には、多くのメリットがある。アマゾンにとっては、フルフィルメントの効率化とコスト削減や、顧客満足度の向上にもつながる。特に衣料品の場合、迅速な配達により顧客がすぐに商品を着用できるようになり、その利便性に満足して返品が減ることも想定できる。返品率が下がれば、商品の補充の必要がなくなり、より多くのコスト削減につながる。
アマゾンは今のところ、非常に緩い返品ポリシーを採用しているが、今後、速達地域が広がれば、返品要件は変更される可能性もある。私個人としては、配達時間が短縮されても料金は値上がりせず、顧客の満足度が上がることはうれしく思う。
(forbes.com 原文)