NTTと国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は8月1日、パートナーシップを交わし、「脳バイオデジタルツイン」の実現と実用化による認知症等の早期発見・予防の実現をめざすと発表した。
ストレスにより認知症やうつ病などの患者が増加する一方、これらの検査には高い侵襲性をともなうため、患者の負担が大きいことが問題となっている。今回の脳バイオデジタルツインが実用化されると、患者本人のカラダではなく、デジタルツインを検査に用いることが可能だという。
デジタルツインを実現するため、NCNPが臨床や研究を通じて得た脳神経疾患の解析に有用なデータを集約して、NTTがそのデータをAIやMLで駆使することで病態をモデル化する。さらに、病態の脳状態や機能を予測する「AI脳シミュレーター」の実現も視野に入れている。
脳バイオデジタルツインの実用化により期待できるおもな効果は以下の7点。
・侵襲性を伴う複雑な検査が不要となることによる患者の心身負担軽減
・検査の簡便化が可能となることによる患者の費用負担軽減
・大型検査機器のデータ共有による小規模病院での検査・治療の実施
・個人に依存する副作用の有無や程度の服薬前での予想
・承認前治療薬の臨床上の効果や副作用の検証を補完すること(治験の支援)による承認の早期化・患者の負担軽減
・臨床的所見の高度解析による発症リスクの予測と疾患の早期発見・予防
・多種多様な病態のデータ収集・再現・解析による体系的な治療薬・治療方法の確立
脳のコピーをつくるといっても、記憶や感情、思考などもコピーしてしまう話ではない。しかし、今回のデジタルツインが実現した先には、そんな未来も見えてきそうだ。
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