AEVはコカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ(CCEP)と共同で買収提案を行い、買収額は現地法人コカ・コーラ・ビバレッジズ・フィリピンの評価額である18億ドル(約2600億円)を考慮した金額になるとみられている。
AEVは、デューデリジェンスと規制当局の承認を経て、今年末までに買収を完了する予定だと説明している。AEVは、純利益の6割を発電事業が占めており、収益の多角化を進めようとしている。
社長兼最高経営責任者(CEO)のサビン・アボイティス(59)は「この買収を通じ、ポートフォリオの多様化を進め、世界有数のブランドを持つ収益性の高い事業を通じて消費者市場に参入する」と述べている。
買収が実現すれば、AEVはコカ・コーラ・ビバレッジズ・フィリピンの40%を所有し、残りはCCEPが所有することになる。フィリピンは、コカ・コーラにとって東南アジアで2番目に大きな市場だ。
AEVは、発電事業に加えて金融サービスにも進出しており、フィリピンのシティバンクの消費者金融事業を買収したユニオン・バンク・オブ・フィリピンの筆頭株主でもある。不動産や食品製造分野にも投資を行い、空港や携帯電話の基地局、データセンターなどのインフラ施設のポートフォリオも構築している。
AEVの親会社アボイティス・アンド・カンパニー(Aboitiz & Co.)は、1800年代後半にフィリピンに渡り、麻の貿易と海運業を築いたスペインのバスク地方出身の船乗りパウリーノ・アボイティス(Paulino Aboitiz)によって設立された。100年以上の歴史を持つアボイティス財閥は、金融と電力分野の巨大コングロマリットに成長。フォーブスが昨年8月に発表した「フィリピンの富豪50人」ランキングでは、アボイティス家の推定保有資産は29億ドルだった。
(forbes.com 原文)