宇宙

2023.08.04 18:30

太陽の未来を予見、ウェッブ望遠鏡がとらえた環状星雲M57の最新画像

環状星雲は何世紀にもわたって人々を感動させてきた(NASA/ESA/CSA/INSTITUTE FOR EARTH AND SPACE EXPLORATION/JWST RING NEBULA IMAGING PROJECT)

環状星雲は何世紀にもわたって人々を感動させてきた(NASA/ESA/CSA/INSTITUTE FOR EARTH AND SPACE EXPLORATION/JWST RING NEBULA IMAGING PROJECT)

NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)から送られてきた画像を、国際天文学者チームが処理した最新画像には、環状星雲(Messier 57 nebula)のかつてない鮮明な画像が含まれている。これは太陽の未来に関する新たな詳細と魅力を天文学者に伝えるものだ。
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環状星雲(天文学者にはM57と呼ばれる)は、地球から2300光年離れた渦巻き状のガス雲をともなう星雲で、地球からは8月に最もよく見える。

M57は、約2万年前に太陽とほぼ同じサイズの死にゆく恒星の爆縮によって形成された星雲であり、科学者の関心は高まっている。今後数十億年にわたって太陽が同様に膨張していくため、M57の研究で科学者たちは太陽の未来を予見することができる。

他の星雲とは異なりM57は傾いており、ほぼ知られていない、内部で起きている物理的過程を科学者たちは見ることができる。
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M57で起きている化学反応は、発している色が示すように華々しく、画像に見られる気体成分の中にはヘリウム、窒素、酸素、水素、硫黄の雲さらには微量の大型炭素質分子もある。

M57は見つけやすい天体であり、アマチュア天文家は夏を通して、あの特徴的なドーナツリングを見ることができる。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は稼働2年目に入りつつあり、100億ドル(1兆4000万円)をかけたプロジェクトから送られてくる華麗な画像の数々は人々の期待を裏切らない。一連の赤外線カメラとサンシールド(太陽光遮蔽板)を備えたウェッブ望遠鏡は、設置後33年になる先代のハッブル望遠鏡と比べてほぼ9倍暗い天体を見ることができる。2022年7月以来画像を送り続け、未来の人生の一角を捉えた壁紙にふさわしい写真を多数提供してきた。NASAは1周年を記念して、先月地球に最も近い星形成領域で新たに生まれた50の星々の画像を公開している。

M57は、生と死の両方に関する驚くべき場所になることが期待されている。多くの星雲と同じく、死にゆく恒星から吐き出されたガスは最終的に星間雲になる。このガスとちりの混合物は、十分重くなると自らの重力によって崩壊しその後、新たな星々が形成される。

今回の画像は、星や宇宙への関心が再び高まっている中で公開された。インドの歴史的な月ミッション、チャンドラヤーン3号が先月打ち上げられ、日本のJAXAは8月26日にX線分光撮像衛星(XRISM)および小型月着陸実証機(SLIM)の打ち上げを予定している。

一方、ケネディ宇宙センターでは、NASAが初めてのアルテミス2号回収テストを2日前に完了した。アルテミス2号は米国の月面における存在を再確立する3つのミッションの2番目となる。そして米国政府は、次年度予算案でNASAに272億ドル(約3兆8800億円)を割り当てる見込みだ。

forbes.com 原文

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