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2023.08.05 18:30

アイスタイル吉松徹郎の偏愛漫画『capeta』|社長の偏愛漫画 #14

吉松徹郎 アイスタイル代表取締役会長CEO

そもそも曽田さんの描く漫画にはそういうストイックな人が多い。『昴』では、ある有名なバレリーナが基本的な立ち姿勢で、5時間でも6時間でもずっと立っていられる。舞台の本番のために小さいこともストイックに続ける強さ。成し遂げるものに対してストイックで、出てくる課題はすべて解決していく。ベンチャーも一緒ですよね。曽田さんの作品のそんなところが大好きです。
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栗俣:起業されて、これまでずっとリーダーとして働いてこられました。その中で「この瞬間はマンガっぽいな」とか「まさに『capeta』みたいだな」と思った瞬間はありましたか。

吉松:振り返るとそういうシーンは多いです。起業して1年もたたないうちに債務超過に陥ってしまったときには、ワラにもすがる思いで日本中のベンチャーキャピタルを回りました。でも、すでに給与遅配がおきている状況では、どこも相手にしてくれません。

しかし、数百人から断られていたなかで、最後に出会ったある個人投資家が、なんと出会ったその日に1億円の小切手をポンと渡してくれました。僕を信じてくれたんです。そのおかげで倒産の危機を免れました。昨年の夏にAmazon、三井物産と業務資本提携を結んだ際にも、同じような経験をしました。サポートを受け、どう応えていくかが求められる。こうした一つひとつのシーンは『capeta』と似ているのかもしれないですね。
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(C)曽田正人/講談社

(C)曽田正人/講談社


栗俣:自分たちのバリューを信じる人が、支えてくれる。

吉松:1人の起業家の夢を、自分の夢かのようにまわりの人たちが一緒になって叶えることができれば、その事業は伸びていきます。支えてくれる人たちは、その起業家の夢が叶わないなんて思っていない。中心にいる起業家自身が「オレはできる」と信じきっているからです。そこに尽きますよね。折れないからこそ、自分を信じてくれる仲間たちに出会えて、ともにがんばることができる。いや、むしろカペタを支えている安藤信や鈴木茂波のような心強い仲間がいてくれることで折れずに頑張れているのだと思います。カペタを読んでいると仲間の大切さを痛感します。

パンデミックが起きて世界がひっくり返り、世の中の常識は一変しました。一寸先を予想して準備することなど、誰にもできません。ならば目の前に起きた課題から目をそらさず、一つひとつ確実に解決していくしかない。カペタのように愚直にストイックに仕事と向き合うしかないのです。僕も、自身のリーダーとしての信念や野望を認めて支えてくれる仲間たちを大切にする経営者でありたいと思っています。



よしまつ・てつろう◎東京理科大学基礎工学部卒業後、アクセンチュア入社。1999年にアイスタイルを設立、代表取締役社長就任(22年9月より代表取締役会長)。同年、コスメ・美容の総合サイト「@cosme」をオープン。ミッションは「Beautyの世界をアップデートしながら、多くの人を幸せにしよう」


【聞き手・企画協力】栗俣力也◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、業界で「仕掛け番長」の異名をもつ。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。

インタビュー=栗俣力也 文= 荒井香織

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