北米

2023.08.04 15:30

中国などの農地購入を制限する法案を米上院が可決した背景

さらに2023年2月、中国の偵察用気球とみられる飛行物体が、米国の核兵器の多くが配備されているモンタナ州上空で目撃されたことから、中国が米国の軍事基地に対してスパイ行為を行っているのではないかという懸念が大きくたかまった。この気球は、北米大陸を横断するかたちで飛行したのち、撃墜されてサウスカロライナ州の沖合に落下した。

今回の修正案は、8860億ドル(約127兆3850億円)規模の包括的な国防権限法の一部を占めるものだ。国防権限法は、国防予算の大枠を定め、米軍の支出を承認するために、議会が毎年可決する法律だ。つまり、この包括的な法案が可決・成立しない限り、国防予算は執行されないことになる。

民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(カリフォルニア州)は、議会は夏季休会に入る前に同法案を成立させられると自信を示し、ポリティコに対し「この法案を成立させられると信じる十分な根拠がある」と断言した

しかしながら、この法律の成立を阻む要素はいくつか存在する。中でも注目を集めているのが、トミー・タバービル上院議員(共和党、アラバマ州)による抵抗活動だ。

タバービル議員は、人工妊娠中絶に関する国防総省の施策に反対している。その施策とは、米兵が人工妊娠中絶手術を受けるために、州境をまたいでの移動が必要となる際に、移動費用を補償し、有給休暇取得も認めるという施策だ。同議員は、自身の要求を押し通すため、上院軍事委員会の委員という自らの立場を利用しており、3月以降、ジョー・バイデン大統領による米軍高官たちの人事案300件以上の承認を拒否している。そして、国防権限法案の修正やその他の手段によって、この施策が廃止されることがない限り、人事案を承認せず、承認手続きを妨害すると主張している。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事