今回の修正案は、8860億ドル(約127兆3850億円)規模の包括的な国防権限法の一部を占めるものだ。国防権限法は、国防予算の大枠を定め、米軍の支出を承認するために、議会が毎年可決する法律だ。つまり、この包括的な法案が可決・成立しない限り、国防予算は執行されないことになる。
民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(カリフォルニア州)は、議会は夏季休会に入る前に同法案を成立させられると自信を示し、ポリティコに対し「この法案を成立させられると信じる十分な根拠がある」と断言した。
しかしながら、この法律の成立を阻む要素はいくつか存在する。中でも注目を集めているのが、トミー・タバービル上院議員(共和党、アラバマ州)による抵抗活動だ。
タバービル議員は、人工妊娠中絶に関する国防総省の施策に反対している。その施策とは、米兵が人工妊娠中絶手術を受けるために、州境をまたいでの移動が必要となる際に、移動費用を補償し、有給休暇取得も認めるという施策だ。同議員は、自身の要求を押し通すため、上院軍事委員会の委員という自らの立場を利用しており、3月以降、ジョー・バイデン大統領による米軍高官たちの人事案300件以上の承認を拒否している。そして、国防権限法案の修正やその他の手段によって、この施策が廃止されることがない限り、人事案を承認せず、承認手続きを妨害すると主張している。
(forbes.com 原文)