米農務省のデータによると、中国の投資家が米国に保有する森林と農地は、延べ38万4000エーカー(約15万5400ヘクタール)に上る。だが、2021年12月時点で外国企業体によって所有されている農地の総面積は4000万エーカー(約1620万ヘクタール弱)に上り、そのうち中国の占める割合は1%未満にすぎない。
それでも、中国資本による数件の土地購入が注目を集めたことをきっかけに、米国議員の間で、自国の国家安全保障に対する懸念が巻き起こった。2022年には、食品添加物などを製造する中国企業のフーホン・グループ(阜豊集団有限公司)が、ノースダコタ州の土地300エーカー(約121ヘクタール)を購入した。ここは、軍用無人機(ドローン)を運用する部隊の本拠地であるグランドフォークス空軍基地から約20kmほどの場所だった。
2020年には、中国のビリオネアである孫広信が、パイロット訓練施設があるラフリン空軍基地に近い、テキサス州デル・リオ近郊に集合型風力発電所(ウィンドファーム)を建設しようとしたが、テキサス州当局に阻止されるという一件があった。このプロジェクトは、最終的にはスペインの企業がこの地所を買い、旗振り役を引き受けたことで、当局の承認を得ることができた。
農地以外の分野に目を移すと、ソーシャルメディアアプリ「TikTok」については、親会社のByteDance(バイトダンス)が、米国ユーザーのデータを中国政府に渡すのではないかとの懸念が根強い。これにより2023年2月には、連邦政府機関で政府から支給される全デバイスで、同アプリ使用が禁じられることになった(ただしTikTok自体は、データを引き渡したことは一度もないと主張している)。