テクノロジー

2023.08.10 07:00

2023年に注目の「新興テクノロジー」10選 気候変動からバイオまで

サステナブル・コンピューティング

AI、クラウドコンピューティング、その他のテクノロジーを急成長させるには、データセンターの能力を一層大きく、より強力にする必要があります。データセンターは、世界の発電量全体の1%を消費していますが、さらに大量のデータを要するデジタル社会に電力を供給するということは、データセンターの電力消費も増加することを意味しています。

ネット・ゼロ・エネルギーのデータセンターという目標の実現を追求する中で、いくつかのテクノロジーが登場していることが同レポートで紹介されています。例えば、水冷や誘電液体冷却による放熱のほか、余剰熱を建物の暖房や給湯、工業プロセスに再利用するテクノロジーなどがあります。

また、AI対応システムは、リアルタイムでエネルギー使用を分析・最適化し、効率とパフォーマンスを最大化することが可能で、グーグルのデータセンターでは、エネルギー消費の最大40%の削減が実現しています。

さらに、データ処理とストレージ・インフラストラクチャーをモジュール化し、需要ベースにすれば、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティングのようなシステムを、複数のデバイスやシステム、拠点に分散させ、エネルギー使用を最適化できるようになります。

AI駆動のテクノロジー

生成AI

生成AIモデルは、驚異的なスピードで日常生活の一部になりつつあります。このモデルは、複雑なアルゴリズムを使ってデータのパターンを認識、利用します。

ChatGPTのようなAIベースの言語モデルが最近登場し、すでに学校、大学、職場での生活に影響を与えています。適切に使用されれば、こうしたツールによって生産性を高めることができ、クリエイティブな成果物の増加につながります。

もっとも、生成AIテクノロジーは、文章、画像、音声の生成だけにとどまらずに、特定の病状を標的とした薬物設計や、建築、エンジニアリングなどにも応用されています。米国航空宇宙局(NASA)のエンジニアが、軽量の宇宙機器をつくるAIシステムの開発に取り組んでいるのはその一例で、開発所要時間の短縮や構造性能の向上も実現できます。
生成AIは人間の努力の限界を超えていっています。 Image: Midjourney, Studio Miko(本レポートの画像はすべてAIを使って生成しています)

生成AIは人間の努力の限界を超えていっています。 Image: Midjourney, Studio Miko(本レポートの画像はすべてAIを使って生成しています)


ヘルスケアにおけるAI

AIベースの新興テクノロジーや機械学習ツールは、世界のヘルスケア部門が将来のパンデミック(世界的大流行)やその他の問題を予測し、より適切に備えるのに役立ちます。

このようなシステムは、国やグローバルレベルのヘルスケアシステムが健康危機に対処する効率を高め、ヘルスケアへのアクセスを改善する一助になり得ます。また、治療ニーズと利用可能な医療リソースを調整し、医療へのアウトリーチを増やすことで、こうしたイノベーションが治療の待ち時間を短縮できる可能性もあると、同レポートは紹介しています。

開発途上国では、ヘルスケアサービスへのアクセスを普及させるのに必要なインフラやスタッフが不足していることが多いため、ヘルスケア分野にもたらすAIのメリットが一段と大きくなるでしょう。
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文=Sebastian Buckup, Head of Network and Partnerships, Member of the Executive Committee, World Economic Forum; Stephan Kuster, Head of Public Affairs, Frontiers

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