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2023.08.08 11:00

企業版ふるさと納税で22億円超!「宇宙のまち」北海道大樹町がすごい

クレイ勇輝(左)とSPACE COTANのCOO大出大輔


企業版ふるさと納税の新しい価値

クレイ:宇宙産業の「今」についてよくわかりました。では、大樹町はどうやって企業版ふるさと納税の寄付を集めたのでしょうか?
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2020年度は9350万円、21年度が7億2860万円、22年は14億1435万円で、3年間で22億円を超える額が寄付されています。

大出:「宇宙のまち」を掲げる大樹町では、北海道スペースポートの施設を拡充するハード整備と、町内の宇宙関連企業をサポートするソフト支援を2本柱に、北海道スペースポートプロジェクトを推進しています。クレイさんがおっしゃっていただいた金額はプロジェクト全体で集まっている寄付の金額です。

弊社が大樹町に設立したのは2021年4月。2年前です。それ以前から大樹町では「宇宙のまちづくり」を進めており、スペースポートの整備計画もその一環でした。ですから設計や建設にかける費用はどうしたら集められるかについてはずっと話し合われていたんです。
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クレイ:宇宙産業の成長スピードを考えるとスペースポート整備のための資金調達はこれまでよりも加速させる必要がありそうですが、その活動を町役場だけが担うのは難しそうですよね。

大出:そうなんです。大樹町としても資金調達に加えて管理・運営に民間のノウハウが必要だろう、と考えるようになったようなんです。そこで民間航空会社で経営経験がある人材を呼び込み、スペースポートの運用を任せるための会社を立ち上げることになりました。それがSPACE COTANです。



クレイ:共同創業のかたちを取っていますよね。

大出:大樹町をはじめ、これまでこのプロジェクトを応援してきた道内や地元企業を中心に会社を立ち上げました。なかでも大樹町が筆頭株主になっています。

SPACE COTANが設立されたことで、宇宙港の運営や整備資金調達、ロケット事業者への営業活動を専業的に行える体制が整いました。町有地や宇宙港施設といったハード面を大樹町が準備し、航空業界でいえばロケット事業者は航空会社に例えられ、SPACE COTANは町から委託を受けて宇宙港の管理運営やロケット事業者誘致を行っていく、空港運営会社のような機能です。そうやって役割が明確になりました。
現在はJAXA大樹航空宇宙実験場とヘリポート、全長1000mの滑走路が広がっている

現在はJAXA大樹航空宇宙実験場とヘリポート、全長1000mの滑走路が広がっている


クレイ:なるほど。その宇宙港整備の資金調達の追い風になったのが、企業版ふるさと納税の控除額の見直しかもしれませんね。

大出:そうなんです。SPACE COTAN設立の前年、企業版ふるさと納税は寄付額の控除の割合が最大60%から90%へ大きく変わりました。これなら寄付のお願いもしやすくなるので企業版ふるさと納税制度を使うことになったんです。

クレイ:ただ、控除額が大きくなったとはいえ、企業側には寄付していただくメリットを上手く伝えなければならないと思うのですが、どんなお話をされたのですか?

大出:企業の皆さまには、企業間の連携を深められる機会を提供することを考えました。企業版ふるさと納税制度は、寄付の見返りに経済的便益を与えないことが条件です。大樹町への寄付をきっかけに、このコミュニティ内で企業同士を繋げる場を設けて新たな取引先を増やしていただく。そこでプラスアルファのビジネスチャンスを生み出していただこうと考えました。

クレイ:それは企業版ふるさと納税の新しい価値だと思います。これまで寄付をお願いする自治体側は、寄付すると企業のPRになります、と説明してきたと思います。それに加えて“寄付コミュニティ”が新しい関係性を生むきっかけになると捉え、説明されているんですね。
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構成=児玉也一 写真=山田大輔

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