AIの種となるアイデアを形にすること、さらに社会実装へ向け適切に配置することは容易ではありません。しかし、医療においてはアカデミアや臨床の現場には、そのAIの種が多く存在します。企業でAIをプロダクトとして社会実装してきた私と、医療現場の課題をデザイン思考で解決する奥井のタッグでなら難題も乗り越えていけると考え、Cubecに参画しました」
2027年のサービス開始に向けて
ChatGPTをはじめ、私たち生活には急速にAIが普及し始めている。しかし、医療の世界においては安全性や有効性の重要度が高く、患者や医療従事者に信頼されるサービス提供までには時間がかかる。「Cubecで開発する心不全診療支援AIは、プログラム医療機器(Software as a Medical Device)として承認取得を目指しています。今後、初期AIモデルの改良を繰り返し、治験と承認を経て、サービス提供開始は2027年を目標にしています」と奥井は言う。
また、サービスの普及のために、医療業界との連携は大前提として、「デザイン思考による医療現場の理解、サービスのUXデザインへの落とし込み」なども丁寧に行っていくという。
AI、デザイン思考、ヘルステックはいずれも注目領域ではあるものの、その3つがかけ合わされたときに、どれだけユーザーにとって実用的なサービスが誕生するのか。その実例を示す存在として、Cubecは慎重かつ確実に、加速を始めている。
奥井 伸輔◎Cubec 代表取締役 CEO。名古屋大学理学部卒業後、外資系製薬企業にて営業・マーケティングに従事。その後、医療ITスタートアップであるハート・オーガナイゼーションにて、本事業の土台となる国立循環器病研究センターを中心とした研究プロジェクトに参加。心不全パンデミックに対応するAI医療機器の社会実装を目指し、AIプログラム医療機器に特化したCubecを設立。芸術修士、学際デザイン研究領域、京都芸術大学大学院
新井田 信彦◎Cubec 取締役 CAIO。東京大学大学院在学中より、JSTの心臓シミュレーター開発のプロジェクトに参画し、大動脈解離に関するテンソル解析を行う。卒業後、AIスタートアップであるブレインパッドの立ち上げに参画。一部上場後、自身のミッションであるヘルスケア領域でのAI活用のためアッヴィ合同会社でAI業務を立ち上げる。専門は機械学習、自然言語処理で、ヘルスケア領域ではリウマチ、消化器、皮膚科、感染症、循環器の領域で経験がある。環境学修士、新領域創成科学研究科、東京大学大学院