この会期中に結核、UHC、およびパンデミックの備えに関する3つの国連ハイレベル会合が開催されることから、このグローバルな集いのまさに中心にグローバルヘルスが位置づけられることになります。これらの歴史的な会合は、結核をはじめとする感染症の終息に向けた歩みを加速させるとともに、UHCを実現し、将来の保健上の脅威に対する防御を強めることのできる、頑健な保健インフラを構築する転機になり得ます。
私たちは力を結集し、これらの会議で高まる機運と意欲を生かし、結核といった既存の疾病に対して、最も効果的な疾病特化型ツールや介入の公平な展開を加速させることができるでしょう。同時に私たちは、感染症の脅威を予防・検知して、いつ、どこで起ころうとも、効果的に対応できるように、より強靭で持続可能、かつ包括的な保健・コミュニティシステムを構築していくのです。
すべての人々、特に最も脆弱な人々が確実に医療にアクセスできるようにすることで、「UHC」に真の「U(普遍性)」をもたらす大きなチャンスです。その目標を達成するための戦略を策定するにあたり、UHC達成とパンデミックへの備えを強化する道筋の一つとして、いかに日本が結核との闘いに注力したかにヒントを得ることができるでしょう。
ピーター・サンズ◎世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)事務局長。英国外務省、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年にスタンダード・チャータード銀行グループの最高財務責任者(CFO)に転身。06年から15年まで同行の最高経営責任者(CEO)を務めた。退任後、ハーバード・グローバルヘルス研究所およびハーバード大学ケネディ・スクールのモサヴァー・ラーマニ・センター・フォー・ビジネス・アンド・ガバメントのリサーチフェローとして、グローバルヘルスと金融規制に関する研究プロジェクトに従事。18年より現職。米国科学アカデミーの「微生物の脅威に関するフォーラム」および「安価な医薬品へのアクセス確保に関する委員会」のメンバーも兼務する。