問題のマルウエアについて、ある米政府関係者は「時限爆弾」と評している。当局筋によれば、軍事作戦を妨害する目的で開発され、米軍基地への電力・水の供給や通信を遮断できる仕組み。米国内各地の一般家庭や商業施設にも影響が及ぶ恐れがある。
このマルウエアがどの程度有効なのかは不明で、中国政府もその規模を把握していない可能性があるという。マルウエアが起動させられた場合、通信やコンピューターネットワーク、電力網は数日で復旧できると当局筋はみている。一部の連邦議員、州知事、電力・水道会社などへはマルウエアに関する説明が行われた。
中国のハッカーをめぐっては今年5月、マイクロソフトがグアムでインフラを標的としたハッキング活動を検知したと発表。だが当局筋によると、米国のシステムにマルウエアを仕掛ける試みは、少なくともその1年前から始まっていたという。
国家安全保障局(NSA)のジョージ・バーンズ副局長は今月、「中国は断固たる決意で、米国政府、米国企業、米国の重要インフラに侵入しようとしている」と述べていた。
今月、ニコラス・バーンズ駐中国大使の電子メールアカウントに中国のハッカー集団が侵入する事件があったが、中国政府は関与を否定している。ハッカーは、ジーナ・レモンド商務長官やダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)のメールにも不正アクセスしていた。クリテンブリンク国務次官補は6月にアントニー・ブリンケン国務長官と中国を訪問したばかり。CNNによると、ブリンケン長官は中国の王毅外相にこの件について問いただしたとされるが、王毅外相の反応は不明だ。