国内

2023.08.03 16:30

核融合だけではない、日本発の次世代エネルギー技術「QHe」とは

クリーンプラネットの実験室

吉野CEOの周りに集まる優れた人材、高度な技術力、そして確固たるビジョンのもと、自ら先端知識を吸収しながら技術者を率いる経営に、クリーンプラネットの強みがある。

産業用から家庭用、国内市場からグローバル市場へ

クリーンプラネットの主眼は、理論解明より実用化である。
 
「多くの人は科学が世界の大部分を解明していると感じていると思いますが、実際に人類が科学的に理解できていることなど、世界全体から見たらごくわずかです。活用と並行してこそ原理の解明も進みます」(遠藤氏)
 
事実、飛行機に揚力が働く仕組みや、全身麻酔の詳細なメカニズムなど、原理が完全には解明されないまま実用化され、後に解き明かされてきた例は多い。
 
もちろんクリーンプラネットでも東北大学を中心に理論解明を進めている。ただそれ以上に、同社が産業技術としての有望性を示せば、同分野に取り組む研究機関や企業、そして何より理論解明を目指す若手研究者の数自体も増えると期待できる。クリーンプラネットが見据える世界の幅は広い。
 
同社は現在、産業用プロトタイプ機を完成させ、パイロットプラントの建設を準備するフェーズ3の段階にある。その先のフェーズ4では、製品の詳細設計を完了しパイロットプラントでの製造開始を視野に入れている。激化する世界各国の新エネルギー開発競争においても、クリーンプラネットの挑戦からは一瞬も目を離せない。

文=畠山和也 編集=露原直人

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