北米

2023.07.28 15:30

「アマゾン帝国解体」目指す米FTC委員長、リナ・カーンの野望

Sundry Photography / Shutterstock.com

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米連邦取引委員会(FTC)は、時価総額が1兆3000億ドル(約180兆円)のアマゾン帝国を解体するための反トラスト法(独占禁止法)訴訟の準備を進めていると、複数のメディアが報じている。

7月25日に最初にこの訴訟の可能性を報じたポリティコによると、FTCは早ければ8月にも提訴する見通しで、アマゾンの複数の商慣行を問題視する可能性が高いという。ブルームバーグが入手したFTCの内部文書によると、訴訟の主な焦点はアマゾンのマーケットプレイスと、アマゾンが自社の物流サービスを出品者に利用するよう強制している点にあるという。

ポリティコは、FTCはアマゾンが検索結果でより良い位置を得るために広告を購入するよう出品者に強制していると考えていると報じている。そのため、FTCは広告部門をマーケットプレイスから分離させようとする可能性があるという。

アマゾンの商慣行については多くの議員も問題視しており、その中には、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員も含まれている。ウォーレン議員は、アマゾンのマーケットプレイスと小売部門を分離するよう繰り返し要求しており、同社がマーケットプレイスを支配しながら、そこで自社製品を販売しているのが不当な商行為だと主張している。

34歳のFTC委員長

一方、この訴訟は、現在34歳のFTCのリナ・カーン委員長のキャリアを決定づけるものになりそうだ。彼女はイェール大学法学部に在学中の2017年に「アマゾンの反トラストのパラドックス(Amazon's Antitrust Paradox)」と題した論文を発表し、アマゾンを筆頭とするハイテク大手を規制すべきだと主張したことで脚光を浴びた。

卒業後、下院司法委員会の法律顧問として数年を過ごした彼女を、バイデン大統領は2021年にFTCのトップに任命した。カーン委員長は、マイクロソフトによるアクティビジョン・ブリザードの買収を阻止するための提訴や、メタによる仮想現実(VR)アプリ開発元のWithin Unlimitedの買収を阻止するための提訴でも知られている。

彼女はこれらの2件の訴訟で最終的に敗退したが、アマゾンに対する訴訟は連邦政府が大手企業を相手取った訴訟としては、ここ数年で最も挑戦的な試みの1つとなる。

FTCはすでに、現在進行中の別の訴訟でアマゾンが顧客の同意なしにアマゾン・プライムに登録させ、解約を不必要に難しくしていると主張している。また、ニューヨーク州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.の検事総長も、アマゾンに対する反トラスト法調査を個別に開始している。

アマゾンは過去に、カーン委員長の論文や過去の発言がアマゾンへの偏見を示しているという理由で、同社に関わる問題から彼女を遠ざけるべきだと主張していた。

forbes.com 原文

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