水素というと、多くの人は、水素を燃料とする燃料電池車のトヨタ・ミライを思い浮かべるだろう。でも、アトキンソンがハンドルを握ったのは、トヨタが最近、富士24時間耐久レースに参戦した水素を燃料とするトヨタGRカローラと同様のパワートレーンだった。つまり、簡単にいうと、GRヤリスは水素燃料燃焼自動車。対して、ミライは水素燃料電池自動車だ。
走り終わったアトキンソンはグッドウッドのテレビ・インタビューにこうコメントした。「今、ヒルクライムを走ってきたけど、このヤリスは楽しいよ。横に描かれたHマークを見たでしょう。奇妙なことに、これは水素を燃料とする標準的な1.6リッター・ターボ・エンジンを搭載しているんです。ガソリンの代わりに水素を直噴するタイプなので、燃料電池のミライとは全然違う。」
トヨタは、内燃機関を維持するため、モータースポーツが進むべきひとつの方向性だと考えているらしい。これはフォーミュラ1が2026年からやろうとしていることと同じだ。F1マシンは合成燃料を使った内燃機関を使用するわけだ。
「エンジンを使い続けることで、モータースポーツのエモーショナルな側面も維持できるということだね。僕は実は、GRヤリスを1台所有しているよ。水素じゃない仕様だけど、これは素晴らしいホットハッチ!」とアトキンソンはいう。
彼が言うように、確かにトヨタは全てのカーメーカーの中で、最も水素を支持しており、一番力を入れているメーカーだ。でも、彼が指摘するように、水素を使うクルマに、そんなに未来性はあるのか? 今の世界の動きを見ていると、ほとんどのカーメーカーは水素ではなく、電気自動車(EV)や合成燃料を使うクルマの開発をどんどん進めているようだが。