米医学誌「JAMAネットワーク・オープン」に最近掲載された研究レターによると、調査したスポーツサプリメント57製品のうち、23製品(40%)は、ラベルに記載されている成分を検出可能な量含んでいなかった。記載されている成分の量が不正確な製品は、なんと89%にのぼった。さらに、米食品医薬品局(FDA)によって禁止されている成分を少なくとも1種類含む製品も、7製品あった。
どうも、こうしたサプリメントを手がけている業者たちは、正々堂々としたスポーツマンシップにはいささか欠けているようだ。「Tinder(ティンダー)」のプロフィールでもあるまいし、成分表示で「盛る」のはやめてほしい。そのうち、成分に「妖精の粉」だとか「月の光」だとか、「イモリの眼(マスタードシード)」だとか「白トリュフ」だとかをうたう製品まで出てくるかもしれない。
問題は、FDAがサプリメントの成分表示を医薬品や多くのパッケージ食品と同じやり方で規制していないということだ。サプリメントの成分を確認できる液体クロマトグラフ四重極飛行時間型質量分析計(LC-QTOF-MS)のような装置を持ち合わせている人でもない限り、販売業者がラベルに本当のことを書いているとある程度信用せざるを得なくなっている。
JAMAネットワーク・オープンで研究成果を発表したのは、LC-QTOF-MSを持つグループだった。ハーバード大学メディカルスクール、ミシシッピ大学、公衆衛生・安全性の認証機関NSFのチームはこの装置を用いて、サプリメントで「刺激作用」や「合成作用」があるとうたわれている5つの成分について調べた。
5つの成分とは、「ラウウォルフィア・ボミトリア(インドジャボク、抽出物に運動能力が向上するとされるα-ヨヒンビンが含まれる)」「メチルリベリン(カフェインに似たもの)」「ハロスタチン」「ターケステロン(ツルケステロン、植物ステロイドの一種)」「オクトパミン(脂肪を燃焼しやすくする神経伝達物質ノルエピネフリンに似たもの)」だ。
研究チームがサプリメント63製品を購入したところ、うち57製品のラベルにこれら5成分のどれかが表示されていた。具体的には、ラウオルフィア・ボミトリアが13製品、メチルリベリンが21製品、ハロスタチンが7製品、ターケステロンが8製品、オクトパミンが8製品に記載されていた。チームは各製品の粉末にメタノールを混合してLC-QTOF-MSで検査にかけ、5つの成分が実際にどれくらい含まれているか、またFDAの禁止成分が含まれているか分析した。