北米

2023.07.27 15:30

パウエル米FRB議長が「景気後退懸念は後退」発言、インフレ抑制に自信

Jerome Powell(Photo by Alex Wong/Getty Images)

Jerome Powell(Photo by Alex Wong/Getty Images)

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7月26日、中央銀行のスタッフはもはや景気後退を予測していないと発言した。

パウエル議長は、過去1年間に渡り景気後退の可能性を警告してきたが、26日の記者会見で、ここ最近の経済の底堅さがFRB職員にその予測を下方修正させたと述べた。

FRBは4月に「穏やかな景気後退」を予測し、米連邦公開市場委員会(FOMC)は先月、年内に景気後退に転じる可能性が「かなり高い」が、その後退は「深刻なものや長引くものにはならない」と述べていた。

パウエル議長の景気後退に関する発言は、FRBが26日の会合で0.25%の利上げを決定し、政策金利を22年ぶりの高水準に引き上げて高インフレに対抗することを決めた直後の会見でのことだった。インフレについて質問された議長は、FRBが「労働市場にダメージを与えずに、インフレを抑え込むことに成功し始めている」と述べた。

FOMCは25日と26日の会合で、フェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標レンジを22年ぶりの高水準の5.25〜5.5%に引き上げることを全会一致で決定した。

金利の引き上げは通常、インフレを抑え込む代償として景気を減速させるため、市場は景気後退の到来を懸念していた。しかし、昨年夏に40年ぶりの高水準に達したインフレ率は、6月にここ約2年で最も低い水準に鈍化した。

米労働省が先日発表した6月の消費者物価指数は、前年同月比で3.0%上昇となったが、それでもFRBの目標値である2%よりは高い。FRBは先月、2022年3月以降で初めて利上げを一時停止したが、パウエル議長は当時、さらなる利上げを実施する可能性を示唆していた。

再就職あっせん会社チャレンジャー・グレイ&クリスマスのレポートによると、製造業やハイテク、銀行を中心とした分野の6月の解雇者数は7カ月ぶりの低水準となり、5月から6月にかけて50%近く減少した。しかし、6月の解雇者数は依然として昨年の同時期の水準を上回っており、ここ1カ月の間にバイオジェンを含む10社以上の米国の大手企業が大規模な人員削減を実施した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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