全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のダンカン・クラブツリーアイルランド事務局長によると、2021年の俳優の年収の中央値は4万6960ドル(約660万円)で、下位4分の1の平均は3万40ドル(約420万円)だった。一方で、製作会社は年間120億ドル(約1兆7000億円)の利益を出しているという。
1996年公開のコメディ映画『マチルダ』で主人公の天才少女マチルダ役を演じたマーラ・ウィルソンは今月、大人になってから組合の医療保険に加入できるほど稼げておらず、その原因はストリーミングにあるとツイートした。
マット・デイモンは映画『オッペンハイマー』のプロモーションイベントで、俳優が組合の医療保険に加入するには最低でも年収約2万6000ドルが必要だと語った。『ゴシップガール』のタヴィ・ゲヴィンソンは、この額を稼げるのは組合員のわずか12%程度だと主張している。
ネットフリックスのドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』でブルック・ソソ役を演じたキミコ・グレンはTikTokのビデオで、海外からのロイヤリティ収入40話以上分の額が記載された書類を公開したが、その総額は27ドル30セントだった。
共演者のマット・マクゴリーは、米誌ニューヨーカーに対し、撮影中もアルバイトをしていたと告白。その理由として、「自分が出演していたメガヒット番組よりも稼げたからだ」と説明した。また、同じく『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に出演したエマ・マイルスも、同ドラマのレジデュアル(再使用料)が年間20ドルだったと明かしている。
テレビ局各社も、古い番組のレジデュアルの支払いを停止している。1969年に始まった『ゆかいなブレディー家(The Brady Bunch)』で知られる女優のイブ・プラムは、同ドラマの出演者たちがこの番組で金持ちになったという認識は大きな誤解であり、番組の再放送からの収入は一切ないと述べている。
ピュー研究所の推計によると、米国で低所得世帯とみなされる年収は4万8500ドル以下。つまり、俳優の過半数が低所得者ということになる。