太陽系のさまざまな惑星で、夜空に色鮮やかな光景が広がっているのかもしれない──。
日欧共同の国際水星探査計画「BepiColombo(ベピコロンボ)」の探査機が集めたデータから、水星にもオーロラが存在することが明らかになった。オーロラが太陽系のいたるところに何らかの形で存在しうることを示す観測結果だという。
オーロラは、電子、陽子、イオンといった荷電粒子が、地球の磁力線に沿って加速されることで起きる現象だ。
水星のオーロラの証拠は、ベピコロンボ探査機のフライバイ(接近通過)によって得られた。現在、水星に接近中の同探査機は、2026年に予定している水星周回軌道への進入に十分な速度まで減速するために、フライバイを数度実施している。
水星で輝くオーロラ
7月18日に科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された論文には、水星の南極付近でオーロラが見つかったことを示唆するデータが示されている。その証拠は2021年10月1日のフライバイで得られたもので、その際ベピコロンボは画像を送ってきただけでなく、水星の磁気圏(惑星の磁場の勢力が届く領域)のデータも測定していた。結果は次のようなものだった。
オーロラは「普遍的に存在」
論文によると、水星のオーロラは、地球や火星で見られるものと似ている。水星の磁気圏は、太陽風(太陽から吹き出す荷電粒子の風)の強度によって変化することが知られている。同じことは、地球や木星、土星、天王星でも起きている。ベピコロンボは、磁気圏内で加速された電子が水星の表面に降り込み、地表面がX線で発光する現象である「X線オーロラ」の直接的証拠を見つけた。これは、オーロラを発生させるプラズマの降り込みが太陽系で普遍的に存在することを示していると、研究チームは説明している。
他の惑星のオーロラ
これまでに、木星、土星、天王星、そして海王星でも、紫外線を発して輝くオーロラが撮影されている。さらに、火星と金星には磁場がないにも関わらず、夜側に散らばる明るいオーロラが検出されている。2018年に打ち上げられたベピコロンボは、欧州宇宙機関(ESA)の水星表面探査機 (MPO)とJAXAの水星磁気圏探査機「みお」の軌道探査衛星2基が連結された形で水星に接近している。
MPOは水星の表面と組成を主に調べ、みおは水星の磁場と薄い外気圏の化学組成に焦点を当てる。さらに共同で、太陽風が水星の外気圏と表面にどのような影響を与えるかを調査する。
(forbes.com 原文)