サステナビリティに強い次世代の起業家を育てる
参加者の一部は、リムリック・ストランド・ホテルで、ジョン&ヘレン・ハートネット夫妻が主催する朝食会に参加した。アイルランド出身、カリフォルニア在住の2人は、SVG Ventures(SVGベンチャーズ)の創業者兼CEO、COO。同社は農業イノベーションに注力する100社以上に投資している。ハートネット夫妻は挨拶の中で、シャノン工科大学(TUS)の近隣キャンパスにあるハートネット・エンタープライズ・アクセラレーション・センター(HEAC)で提供されているプログラムについて詳しく説明した。
ジョン・ハートネット、ランダル・レーン、フランシス・フォーリー、ヘレン・ハートネット、パット・ダリーの背後に広がるリムリックとシャノン川 DON MOLONEY
ジョン・ハートネットは、「アイルランドの起業環境は、特にエネルギーと農業におけるイノベーションの交差点において、将来に向けて十分に整っている」と述べ、メンターシップと明日のリーダー育成に関するイニシアチブを支援するよう呼びかけた。
その後、TUSの卒業生であるジャック・コッターとニック・コッターが舞台に加わり、20代だった二人が過去10年間に始めた3つの会社について語った。「農家は究極の問題解決者であり起業家である」と語る二人は、バイオマス供給、オーガニック羊肉の生産、家畜の寄生虫を検出する自動化システムなどの製品ラインについて説明した。
起業家精神旺盛なアイルランドの現状と今後
2時間のトークには、3月に発表された2023年「Forbes 30 Under 30ヨーロッパ」の受賞者3人も登壇した。ルース・ウィリアムズは、投資銀行BNYメロンのデジタル・アセット・ビジネスのプリンシパルとしてダブリンを拠点に活動している。同社は最近、グローバルクライアントのためにAI、機械学習、データ分析を開発するデジタルR&Dハブをダブリンに開設する850万ドル(約12億円)の計画を発表した。
また、本記事の冒頭で紹介したGrá Chocolates(グラ・チョコレート)のグラーニャ・マリンズは、現在米国市場参入のためにFDA(食品医薬品局)の認可を待っているという。
さらに、ダブリンのスタートアップProtex AI(プロテックスAI)の共同設立者兼CEOであるダン・ホッブスも登壇した。ホッブスは、同社がテスラやアマゾンなどと提携し、製造施設や倉庫、港湾に自社のソフトウェアを導入することで、従業員の安全に対するリスクを検知し、防止する手助けをしていることを説明した。
ホッブスは共同創業者でリムリック出身のキアラン・オマラとともに、米国を拠点とするFlexport logistics(フレックスポート・ロジスティックス)、Y Combinator(Yコンビネーター)、ロンドンを拠点とするNotion Capital(ノーション・キャピタル)などのファンドから1800万ドル(約25億円)を調達した。
リムリックを拠点とするTracworx(トラックウォークス)の共同設立者兼CEOのクリス・ケリーは、再利用可能なロジスティクス・コンテナのトラッキング・プラットフォーム構築の道のりについて説明した。