防衛省関係者は「ソーサス(SOSUS=Sound Surveillance System)のことですね」と教えてくれた。ソーサスは米国が戦後、開発した音響監視システムだ。海底に水中の音を聴いて記録するハイドロフォンを設置する。冷戦期には、北極海や、アラスカとカムチャツカ半島などに囲まれたベーリング海などから米本土に近づくソ連の原子力潜水艦の位置を特定するために活躍したとされる。米軍は冷戦終結後、ソーサスの運用中止を明らかにしたが、その後、いつ運用を再開したのかは、わかっていない。
元海上自衛隊情報幹部で安全保障ジャーナリストの吉永ケンジ氏は「潜水艦には、スクリューにつながる軸であるシャフトの回転音とスクリューが水を切る音に個艦の特性があり、これを音紋(おんもん)と言います。海上自衛隊と米海軍はロシアや中国の潜水艦の音紋データベースを保有しています。陸上の施設から海底に伸びるソーサスや海洋観測艦が曳航するサータス(SURTASS=Surveillance Towed Array Sensor System)が、かなり遠距離に位置する潜水艦を探知し、音紋から艦名を割り出します。装備の能力を考えれば、米海軍のソーサスがタイタンの圧壊音を探知していた可能性は十分にあると考えられます」と語る。