音楽

2023.07.29

リーダーに知ってほしい 「ノブレスオブリージュ」という言葉

音楽イベントの「ノブレスオブリージュ席」、その意味とは?

あなたは、ノブレスオブリージュという言葉を知っているだろうか?

「高い社会的地位には義務が伴う」ということを意味するフランス語である。僕が初めて知ったのは3年ほど前のこと。アナウンサーで、クラッシックに精通している永井美奈子さんから教えてもらった。

永井さんは、西麻布に本格的なコンサートサロン「霞町音楽堂」をつくってしまうほどのクラシック好き。若い音楽家を支援するために、この場所で「音夏(おんなつ)」をいう音楽フェスティバルを2020年から開催している。

コロナ禍でスタートしたおんなつは、当初オンライン配信で開催していた。クラウドファンディングをしていたので申し込んだら、プロのピアニストから霞町音楽堂でピアノを習うことができるという、すごい権利を頂いた。人生で初めてスタインウェイのピアノで、「Merry Christmas, Mr. Lawrence」(通称「戦メリ」)の指導を受け、感銘を受けた。

ちなみに筆者がピアノで弾けるのは、この戦メリと「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」での2曲だけ。前者は坂本龍一さんのコンサートで感銘を受けて。後者は、僕が大好きなミシェル・ファイファー主演の映画「恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」(1989年)を見て弾きたくなった楽曲である。

おんなつは2021年からリアルでも開催されるようになり、2021年には「ノブレスオブリージュ」という席が生まれた。10テーブル限定で、4人掛けが10万円。ワイマラマジャパンのワインがついており、ワインを傾けながらクラシックやオペラを楽める豪華な席だ。

僕は永井さんに薦められるがままに購入し、「特等席?」と勝手に解釈をしていたが、どうやら仕掛けがあったらしい。この席を購入することにより、公演の無料入場チケットや無料配信チケットを全国の音大生にプレゼントすることができ、音大生の支援につながるのだ。

冒頭に書いたように、ノブレスオブリージュとは「高い社会的地位には義務が伴う」という言葉で、これを体現した席だったのだ。思った以上に深い意味と社会貢献が含まれていた。
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文=野呂エイシロウ

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