ソフトウェア開発環境において、AIはソフトウェアコードの完全自動生成ではなく、あくまでも支援やテストメカニズムとしての使用に向かって合意が形成されつつある。大事なことは、いわゆる市民開発者(非専門家)がソフトウェアロボットでコードを生成できるようになったとしても、ハードコアなソフトウェア開発者が持つカスタマイズの力(およびセキュリティリスクをカバーする能力)を非専門家が持てるようにはならないということだ。
AIとともに成長し、その影響がどこに見られるかについて自信を持つようになると、AIが提供する自動化の全スペクトルを論理的に見つめることが可能になる。ここには、いわゆるハイパーモーダルAI(Hypermodal AI、超多様AI)、つまり予測する、判断を助ける、生成するといった、異なる「モード」で動作できる知能の概念が含まれる。
予測、因果、生成
Dynatrace(ダイナトレース)は、現在は自社のことを統一された監視とセキュリティプラットフォーム会社と自称しているが(ITベンダーは数年ごとに自社の「売り文句」を変えることが多い)、その製品であるDavis AIエンジンを拡張して、事実に基づく予測AI(Predictive AI)、洞察の因果AI(Causal AI)、新たな生成AIの能力を統合したハイパーモーダルAIを開発した。DynatraceのCTOベルント・グライフェネダーは次のように語っている「生成AIは生産性向上のための革新的な技術であり、無限の可能性を持っています。その可能性を最大限に引き出すためには、強力な因果AIや予測AIと組み合わせるハイパーモーダルAIが必要です。未来を確実に予測できるのは予測AI、問題の根本原因を確定的に把握できるのは因果AI、そして特定の問題に対する推奨事項や解決策を生み出せるのは生成AIです。Davis AIの新機能は、これらの要素を統合し、監視とセキュリティソリューションの新たな可能性を開きます」