サイエンス

2023.07.29 14:00

宝石の中に3D状態で保存されていた15億年前の生命体

ウクライナのヴォルィーニ生物相で発見された起源不明の微生物化石(ULRICH GERNERT/ZELMI)

とりわけ興味をそそるのは、研究チームがこれまで知られていなかった形態の生物もいくつか発見したことだ。それらは球形構造や触手のような枝を持っている。

これまでに報告のない球状の微生物(ULRICH GERNERT/ZELMI)これまでに報告のない球状の微生物(ULRICH GERNERT/ZELMI)

石英鉱山のグラナイト(花崗岩)で見つかった原始微生物化石の位置は、その生活様式および、化石がきわめて良好な状態で保存されていた理由を説明している。
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「今でも、地殻の最大3キロメートルの深さで生きている微生物がいます」とフランツは説明する。彼らは太陽光のないその場所で、リン、窒素、二酸化炭素などの物質に依存して生きている。それらの物質は水に溶け込んで亀裂やクレバスを通って地上から地下に移動したものや元々そこにあったものだ。

それらの微生物は、代謝に必要なエネルギーを鉱物の化学的プロセスを通じて入手する。石英鉱山のグラナイト洞窟には、すでに15億年前から地表近くに微生物コロニーがあったと思われる。そしてグラナイトは多量のフッ素を含んでいるため、水と熱との相互作用によって腐食性の強いフッ化水素酸が地下で形成され、多くのアルミニウムとケイ素を溶かした。

その溶液は時とともに間欠泉のように洞窟に打ち付けられ、微生物をマイクロメートルレベルのケイ酸アルミニウム(緑柱石)の薄膜で覆った。「もちろんその結果、微生物は死にましたが、同時に完璧に保存されたのです」とフランツは説明した。
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「私たちの研究はまだ始まったばかりです。さらなる調査と、できれば新しい発見によって、原始的な微生物について、特に大陸上でまだ知られていない形態についてさらに知ることができるでしょう」とフランツは結んだ。

この発見は、地球における生命の初期発生に関してだけでなく、他の惑星の過酷な条件の下での生命の進化についても新たな知見を提供する可能性がある。

論文「The Volyn biota (Ukraine)—indications of 1.5 Gyr old eukaryotes in 3D preservation, a spotlight on the "boring billion」は、論文誌、Biogeosciences (2023)に掲載された。追加資料およびインタビューはベルリン工科大学から提供された。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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