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2023.07.31 11:30

創業54年の老舗VC、メイフィールドが設立の「AIファンド」

Timepopo / Shutterstock.com

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1969年設立の老舗ベンチャーキャピタル(VC)、メイフィールド・ファンドは、人工知能(AI)関連のスタートアップの支援に特化した新たな投資ビークルを立ち上げる。生成AIブームの中、メイフィールドが設立した「AI Startファンド」の規模は2億5000万ドル(約353億円)で、シード期かそれよりも若いステージのスタートアップを対象に投資を行う。同社を率いるナヴィン・チャッダ(Navin Chaddha)によると、このファンドの資金は13億ドルにのぼる手元資金の再配分により捻出したという。

「我々はこれまで、ウェブやモバイル、クラウドの分野に出資してきたが、AIの投資機会はこれらを上回る。AIは、人類をスーパーヒューマンにすることができる」と話すチャッダは、フォーブスが世界最高の投資家を選出する「ミダスリスト(Midas List)」の常連で、今年は5位にランクインした。

彼は、OpenAIのChatGPTがシリコンバレーでAIブームを巻き起こした直後に、この分野に特化したVCファンドの設立を計画し始め、インテル・キャピタルとクリア・ベンチャーズの出身のヴィジェイ・レディ(Vijay Reddy)を新パートナーとして採用した。

この新ファンドは、メイフィールドにとって初めてのシードステージに特化したファンドだ。54年の歴史を持つメイフィールドは、シードからシリーズBまでを対象としており、チャッダのリーダーシップの下でLyft(リフト)やPoshmark(ポッシュマーク)、HashiCorp(ハシコープ)などへの初期投資で成功を収めた。メイフィールドは、ポートフォリオの中で最も成功している企業に追加支援をするため、7年前にレイターステージ向けファンドを立ち上げている。

これまで、メイフィールドは投資先企業に対して700万~1200万ドルを出資して株式の20%を取得するといった、VCとしては一般的な投資アプローチをとってきた。しかし、チャッダは生成AIのエコシステムに対しては異なるアプローチが必要だと考え、従来は投資基準に該当しなかったスタートアップにも門戸を広げるつもりだという。

「恐竜になってしまったら生き残ることはできない。製品やチームを作る前の起業家にも会って、彼らのニーズに応えなければならない」とチャッダは話す。

スタートアップがより多くのエンジェルや他の投資家から支援を得られるよう、AI Startによる投資は従来に比べて規模が小さく、持分も10%以下になる可能性がある。クリア・ベンチャーズ時代にこのようなシンジケート型の投資に携わった経験を持つレディによると、このアプローチは設立間もないスタートアップが幅広い支援を受けることを可能にし、メリットが大きいという。

メイフィールドは、AI企業の定義についても、その範囲を広げている。チャッダは、アプリケーションソフトウェアから半導体まで、幅広い技術に興味を持っている。一方、レディは人間が意思決定に関わり、AIがコパイロットの役割を果たすAIアプリケーションや、AIの信頼性と安全性のためのインフラ・ツールを構築する企業に特に期待しているという。
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編集=上田裕資

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