防災テックのSpecteeが「自治体の災害対応とデジタル化」に関する調査を実施したところ、地震への対策は重視しているものの、台風や水害については、そこまで手が回っていないことがわかりました。
日本列島は地震のない地域はなく、東日本大震災においての混乱を経験したり、報道で知っているため、災害規模も大きくなりがちな地震を重点的に対策していると回答した自治体はどの地域でも70%前後に上りました。一方、台風や最近の線状降水帯、ゲリラ豪雨による風水害に対しては、西日本はやや高いものの、東北などは40%を切る結果となっています。
災害発生時に直面する課題としては、「初期対応が迅速にできない」が43.5%、「刻一刻と変化する状況を把握することが難しい」が42.1%、「住民へいかに迅速に情報を伝達するか」が36.0%と続いています。正確な情報を迅速に入手し住民へ伝えるという人命にもかかわる重要なポイントが上位を占めました。
これに対し、どのような対策をしているかについては、「関係各所との連携を含めた訓練」が45.9%、「インターネットのウェブサイトを通じた情報収集」が35.9%、「職員間のコミュニケーションツールの導入」が33.9%と続いており、この回答からだとあまりDXの効果は見られないように思えます。
初動対応への対策はできているかの問には、「十分に」と「ある程度」を合わせると71.3%ができていると回答。デジタルを活用した防災対策に取り組んでいるかの問に対しては、「積極的に」と「ある程度」を合わせると71.9%が取り組んでいるとしています。ただ、初動対応への対策ができていない自治体は「あまり取り組めていない」と「全く取り組めていない」を合わせて57.9%が取り組めていないと回答しているため、デジタルの活用の必要性は感じており、取り組みに力を入れているほうが、初動対応への対策につながっているようです。
道路や河川、沿岸、山林など、それぞれ管理している管轄が違うため、たとえそれぞれの管轄がデータを持っていても、なかなかデータを共有するところまではいっていないでしょう。でも、それぞれのデータを掛け合すことで得られる情報は、防災のデジタル活用の要となり住民の安心安全を守ることにつながるため、デジタル化への取り組みは一層加速していってほしいものです。
出典:Spectee「自治体の災害対応とデジタル化」に関する調査より