セコイアのCOOのスマイヤ・バルベール(Sumaiya Balbale)はフォーブスの取材にこの決定が、同社の支援先のスタートアップのリクルーティングを支援する、タレントチームのスタッフの約3分の1に影響を与えたと述べた。この動きは、同社に12年間在籍し、タレント部門のトップを務めたハイメ・ボット(Jaime Bott)が4月に退社したのに続くものだ。
2人の情報筋によると、今回のレイオフは、2022年初頭に終わった強気相場以降のVC業界の動向を反映したものという。市場の低迷が続く中、セコイアの競合のYコンビネータは17人の従業員を解雇し、レイトステージのファンドを閉鎖した。
「2021年と2022年のピーク時には、我々のポートフォリオの人材ニーズは3倍になった」とバルベールはフォーブスに語り、セコイアがこの時期に人材を倍増させたことを指摘した。しかし、スタートアップの採用が凍結され始めると、調整は避けられなくなった。バルベールは「市場の調整が進む中で、企業が当社に求めるリクエストや採用ニーズは減少した」と語った。
メンロー・ベンチャーズのタレントパートナーのジョーダン・オーモントは、このような動きは驚くべきことではないと話す。「ここ数年の好景気の中で、企業は過剰な採用を行い、現在は軌道修正を図っている」と彼は指摘した。ただし、それはどのVCにも当てはまるものではなく、メンロー・ベンチャーズは自社の人材とビジネス開発チームを「意図的に増員」しているとした。
バルベールは、今回の人員削減が2年前から進めてきた広範な「再編成」の一環で「1対1のサポート」ではなく、一度により多くの創業者を対象とするものへの移行だと説明した。その例としては、シードステージのスタートアップを対象としたArcプログラムや、創業者にアドバイスを提供するオペレーターのネットワークのBuildersが挙げられると彼女は述べた。
バルベールによると、セコイアはこれまで創業者のニーズに合わせて人材に特化した従業員数を拡大する「代理店型アプローチ」をとってきたが、新たなモデルは同社がピーク時や非ピーク時を問わず、スケーラブルな方法でより多くのサポートを提供できるようにするためのものという。
昨年から続く「激動」
セコイアは昨年、長年会社を率いてきたダグ・レオーネから、元ペイパルのロエロフ・ボサが経営を引き継ぎ、激動の変革期を迎えている。同社のパートナーのアルフレッド・リンは、1月の業界イベントで、リミテッド・パートナ(LP)の新たな投資先のマネージメント手数料を引き下げたと述べていた。さらに、今年6月には地政学的圧力を理由に、セコイア・チャイナとセコイア・インディアを別会社に分離した。ニュースサイトThe Informationは、マイケル・モリッツと2人の暗号資産関連の投資家を含む5人のパートナーがここ数カ月でセコイアを去ったと報じた。バルベールによると、これらのメンバーの退社は今回のレイオフとは無関係だという。
セコイアは、さらに幅広い人員削減を行う予定なのかと尋ねるとバルベールは「今は何も計画していない」と答えた。
(forbes.com 原文)