暗号資産

2023.07.25 17:00

OpenAIが20億人登録目指す暗号資産「ワールドコイン」の全貌

OpenAICEOのサム・アルトマン(Photo by Win McNamee/Getty Images)

ChatGPTの開発元のOpenAIのサム・アルトマンCEOが、数年前から開発を進めてきた暗号資産「ワールドコイン」のプロジェクトが7月24日、正式に発足した。

このプロジェクトの核となるのは、ユーザーがボットではなく本物の人間であることを確認するための「ワールドID」と呼ばれるアカウントで「オーブ」と呼ばれる専用の機器を用いて、目の虹彩をスキャンしたユーザーに付与される。

さらに、ワールドIDを取得したユーザーは、暗号資産のワールドコインを用いた決済や送金、その他のデジタル資産の購入が行える。ワールドコインは、ベータ版として200万人以上のユーザーを集めており、今後は20カ国の35都市で虹彩のスキャンを強化すると発表した。

ワールドコインのトークン(WLD)は、ベータ版に参加した人々向けに発行済みで、世界最大の暗号資産取引所のバイナンスなどで取引可能になっている。

アルトマンとともにワールドコインを立ち上げたアレックス・ブラニアは、人工知能(AI)の時代には、AIと人間を区別することが重要だと述べ、ワールドコインがこの問題に対処するための「プライバシーが守られ、どのような組織にもコントロールできない分散型のアプローチをとる」と述べている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ワールドコインが現在、米国では利用できないと報じているが、これは、米国の規制当局がデジタル資産に対する取り締まりを強化しているからだ。アルトマンはFTの取材に「米国政府がこのプロジェクトを成功させることも失敗させることもない」と語ったが、彼は、このプロジェクトが「米国を除く世界」で始動したことが想定外だったと述べた。

世界20億人の登録を目指す

数年前に非公式に発足したワールドコインのプロジェクトには批判の声もあがっている。主な懸念は、ユーザーの身元を確認するために生体データを収集、保存、使用することにともなうプライバシーのリスクに対するものだ。

また、初期ユーザーに暗号資産と引き換えにサインアップするようインセンティブを与えたことも批判されている。さらに、暗号資産などの分散型ネットワークを支えるブロックチェーンの主な用途が、人々の身元を不明瞭にすることであることを考えると、ワールドコインが個人を正確に識別するために使われるという前提そのものに反対する人もいる。

アルトマンは今後、20億人のユーザーをワールドコインに登録させたいと述べているが、対面でのアポイントメントが必要であることを考えると、同社がどれほどのスピードで規模を拡大できるかは不明だ。ワールドコインは、すでに2000個のオーブを製造したと述べており、公式サイトで、追加ロケーションのオーブのオペレーターを積極的に受け入れると述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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