サイエンス

2023.07.28 14:00

迫り来る「6回目の生物大量絶滅」は当初の予測よりも深刻である可能性

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「総合的に見て、私たちの発見は生物多様性が絶滅危機の間際にあるという警告を強化するものです」と著者らは指摘し、生態系全体が崩壊している現状を踏まえると、この絶滅事象は過去の研究が示唆していたものよりはるかに深刻であることを強調した。
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「この危機が生態学的、生態系的に広大な影響をおよぼすことは、個体の減少およびその結果起きる群衆の構成における変化が、生態学的機能に強く影響することを考えれば明らかです」

さらに研究チームは、IUCNのレッドリストのみに依存することは、生物多様性の喪失を過小評価するリスクをともなうことも指摘した。とりわけ本研究では、絶滅の危険がないと分類されている種の33%で、実際には個体数が減少していたことを発見した。たとえば、鳥類種はわずか13%がIUCNによって絶滅危惧種であると考えられているが、著者らは53%の種で個体数が減少していることを明らかにしている。

それにも関わらず、IUCN分類は今も自然保護科学者にとって「優れた情報源」であるとされているが、本研究の方法は、差し迫る生物多様性の喪失に関する新たな情報を提供するものだ。IUCNのデータと本研究の発見を組み合わせることによって、現在、何がなぜ起きているかを適切な厳密性をもって示すことができるだろう。
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迫りくる大規模な生物多様性喪失の理由は明白だ。人間の活動が絶滅の唯一の原因であることは否定できない。人間が土地、水、エネルギーを持続不可能な方法で使用し、さらには暴走する気候変動を引き起こしているためだ。現在、地球の陸地全体の40%が、増加する人口を維持するための食糧生産のみの目的で改造されている。農業だけで世界の森林破壊の90%、淡水消費の70%を占めており、そこに生息している種を絶滅へと追いやっている。

「さらに悪いことに、食糧の持続不可能な生産と消費は、温室効果ガス排出の明らかな原因であり、大気温度を上昇させ、地球全体に大きな被害をもたらしています」と著者らは述べている。「気候危機は深刻な干ばつから頻繁な暴風雨までさまざまな被害を起こしています。さらに、気候変動は食糧生産に関連する課題を悪化させて動物種にストレスを与えるとともに、生物の生息地を荒廃させています。干ばつや洪水の増加は、一部の地域で収穫を維持して十分な食糧を生産することを不可能にしています。食料システムと気候変動と生物多様性の相互に絡み合った関係は、私たちの地球に計り知れない圧力をかけているのです」

出典:Catherine Finn, Florencia Grattarola, and Daniel Pincheira-Donoso (2023). Review: More losers than winners: investigating Anthropocene defaunation through the diversity of population trends, Biological Reviews | doi:10.1111/brv.12974

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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