セマフォーによると、米紙ニューヨーク・タイムズや米ニューズ・コープ、独アクセル・シュプリンガー、ドットダッシュ・メレディスを所有する米IACといったメディア企業が、グーグルやOpenAIなどのAI大手に対抗するための連合を結成しつつある。
IACのジョーイ・レヴィン最高経営責任者(CEO)はセマフォーに対し、AIがニュースメディアを乗っ取る恐れは、AIが世界を乗っ取り人間にとって代わるという懸念よりも「より意味深い」ものかもしれないと警告している。
AIは、メディア各社のページからデータを収集し、出典情報やリンクなしにユーザーに提供する可能性がある。メディア各社の主な懸念は、グーグル検索から自社ウェブサイトが得られるトラフィックにAIが与え得る影響に関するものだと報じられている。IACのバリー・ディラー会長は先週、AIがメディア業界に「破滅的」な影響を及ぼすと警告していた。
米AP通信は今月、AIがニュースメディアに与える影響についての懸念をはねのけるかのように、ChatGPTを開発したOpenAIと過去の記事使用をめぐる契約を結んだ。契約により、OpenAIはAP通信に「技術と製品に関する専門知識」を提供することと引き換えに、AP通信の「テキストアーカイブ」にアクセスできるようになる。契約額は公表されていない。
グーグル、OpenAI、メタ、ミッドジャーニーなどのAI企業は、コンテンツクリエイターやアーティスト、出版社のコンテンツを同意や対価の支払いなしに使用し、AIモデルをトレーニングしていると批判されており、複数の訴訟も起こされている。今月には、コメディアンのサラ・シルバーマンを含む原告3人が、自分のコンテンツを許可なくAIモデルのトレーニングに使用したとして、著作権侵害でOpenAIとメタを訴えた。グーグルも、同様の集団訴訟を起こされている。
バイデン政権は先週、AI開発を主導するグーグル、OpenAI、マイクロソフト、アマゾン、メタ、Anthropic(アンスロピック)、Inflection AI(インフレクションAI)の7社から、「安全で透明なAI技術開発」に向けた自主的取り組みの確約を得たと発表した。ただしこの合意は、バイアス(偏り)や誤情報、プライバシーなどの懸念に焦点を置いたもので、AI訓練に使用されるデータの提供元への対価支払いに関する方針は含まれていない。
(forbes.com 原文)