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2023.07.25 12:00

グッチCEO退任の背景に中国の陰り 競合ブランドの動向は

マルコ・ビッザーリ(Getty Images)

マルコ・ビッザーリ(Getty Images)

2015年からグッチのCEOを務めてきたマルコ・ビッザーリが、今年9月にその職を退くことが決まった。親会社のケリングの7月18日の発表によると、ケリングのマネジングディレクターのジャン・フランソワ・パリュが暫定的にグッチの社長とCEOを兼務するという。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)が「世界のラグジュアリービジネスで最も尊敬される経営者の1人」と評したビザーリの退任は、同ブランドのクリエイティブディレクターを7年間務めたアレッサンドロ・ミケーレが昨年退任し、売上の減少が報じられる中でのこととなった。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、グッチの経営トップの刷新は、先週のケリングによる一連の発表の一部で、サンローランを率いているフランチェスカ・ベレッティニーニがケリングのブランド開発担当副CEOに、ケリングのジャン・マルク・デュプレCFOが業務運営・財務担当の副CEOにそれぞれ指名された。

グッチは近年、LVMHが所有するルイ・ヴィトンやディオールなどの競合に対して劣勢に立たされており、今回の人事は、同社にテコ入れを図るものとみられている。同ブランドの2022年の売上高は前年比8%増の117億ドルだったが、中国市場への依存度が比較的高いことから、第4四半期はコロナ禍による混乱の影響で前年同期比11.0%減だった。

時価総額が約740億ドルのケリングは、バレンシアガやボッテガ・ヴェネタ、アレキサンダー・マックイーン、イヴ・サンローラン、プーマ、コブラなどのブランドを傘下に持つ。

他の4つの高級ブランドの動向

エルメスの2022年の売上高は前年比23%増の129億ドルだった。同ブランドは、オースティンとニューヨークのマディソン・アベニューに新店舗をオープンし、米国で大きく売上を伸ばした。

プラダの2022年の売上高は前年比21%増の44億ドルで、地域別では、ヨーロッパでの売上高が前年比59%増、アメリカ大陸が37%増だった。同ブランドは1月に、新CEOにアンドレア・グエラを迎えた。

ルイ・ヴィトンの売上高は2022年に過去最高の224億ドルに達した。同ブランドは、好調の理由として、フランスに新たに2つの工房をオープンしたことと、いくつかの新たな店舗をオープンしたこと、そしてブラッドリー・クーパーがモデルを務めたウォッチブランド、タンブールの20周年記念コレクション「タンブール・トゥエンティ」を発表したことを財務書類の中で挙げていた。

シャネルの2022年の売上高は前年比17%増の172億ドルだった。同ブランドは今月、香港の現代美術館「M+」で3年間のキュレーター・スポンサーシップを開始し、ビバリーヒルズに大型ブティックをオープンした。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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