宇宙

2023.07.24 11:15

ボイジャー「金のレコード」の音源が競売に 8千万円超で落札か

ボイジャー1号と双子の姉妹ボイジャー2号は、太陽系外縁部、最終的には星間空間を調査する目的で1977年に打ち上げられた(Getty Images)

ボイジャー1号と双子の姉妹ボイジャー2号は、太陽系外縁部、最終的には星間空間を調査する目的で1977年に打ち上げられた(Getty Images)

現在、星間空間を旅している米航空宇宙局(NASA)の探査機「ボイジャー」に載せられた有名な「ゴールデンレコード(金のレコード盤)」のマスターテープが今週、サザビーズの競売に掛けられる。予想落札価格は40万~60万ドル(約5700万~8500万円)だ。

音と画像を収めたタイムカプセルであるゴールデンレコードは1977年、ボイジャー1号と2号に載せられて打ち上げられた。30cmの金メッキ銅製アナログレコードに、地球の生物と文化の記録として、59言語での挨拶や、アナログ形式でエンコードされた画像115枚、ザトウクジラの鳴き声を含む地球の音、世界各地の楽曲27作品などカバーには太陽の位置情報と、レコードを再生するための手順が書かれている。

 レコードはアルミ製ジャケットで保護されていて、数百万年にわたり朽ちることないとみられている。

ゴールデンレコード・プロジェクトを率いたのは、ドキュメンタリー制作者のアン・ドルーヤンと天文学者・SF作家のカール・セーガン。2人は1980年に米公共放送サービス(PBS)の伝説的ドキュメンタリー番組『COSMOS』を共同制作し、翌年に結婚した。セーガンは1986年に死去。競売に掛けられるマスターテープは、NASAのVoyager Interstellar Message Project(ボイジャー星間空間メッセージ・プロジェクト)のクリエイティブディレクターを務めたドルーヤンの個人コレクションから提供された。

ボイジャー計画からこうした物品がオークションに出品されるのは初めて。レコードは合計8枚作られ、うち2枚が探査機に搭載された。

もし、宇宙を旅する文明がボイジャーを見つけたら、それがどこから来たのかだけでなく、いつ送られてきたのかも知ることができる。レコードのカバーには、時計の役割を果たすウラン238の試料が添付されている。ウラン238の半減期は44億6800万年であり、その残量を測れば経過時間が計算できる。

NASAによると、ボイジャーは約4万年後に赤色矮星ロス248から1.7光年の位置を通過、約29万6000年後には夜空で最も明るい星のシリウスから4.3光年の位置を通過する予定だ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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