欧州

2023.07.22 15:00

ギリシャ・アテネの観光労働者、45度の猛暑でストライキに突入

ギリシャ・アテネにあるパルテノン神殿(Getty Images)

ギリシャの首都アテネでは、観光名所の古代遺跡アクロポリスで働く労働者たちが、45度という猛暑の中で働かされていることに抗議してストライキに突入した。労働組合はこの行動を「警備員と訪問者の健康を守るため」だと説明している。

ギリシャ政府は14日、猛暑のため、紀元前5世紀に建てられたパルテノン神殿をはじめとする古代遺跡がある丘の上の複合施設であるアクロポリスを3日間にわたり閉鎖した。だが、政府が17日にアクロポリスを再開すると、観光業に従事する労働者は即座にストライキを決行。汎ヘレニズム古美術品保護従業員組合(PEYFA)は、ストライキを「全会一致で決定した」と発表した。労働者は20日以降、1日で最も気温の高くなる4時間、ストライキを行なっている。

ギリシャ国立気象局(EMY)は20日、緊急告知を「赤色警報」に引き上げ、同日から23日にかけて44度まで気温が上昇すると警告した。

欧州の現在の熱波は、冥界へ魂を運んだ神話の渡し守にちなんで「カロン」と呼ばれている。アフリカから欧州に北上する高気圧に後押しされ、この1週間で2度目の「熱嵐」となっている。

この酷暑は、地中海沿岸の観光名所に特に大きな打撃を与えているが、気温が下がる兆しはない。

欧州宇宙機関(ESA)によると、イタリアのサルディーニャ島とシチリア島の気温は今後数日以内に48度に達する見込みで「欧州で記録された中で最も高い気温」になるという。ローマ、ボローニャ、フィレンツェなど、イタリアの主要都市を含む20都市近くが現在、猛暑のため赤色警報を受けている。赤色警報は、暑さが「脆弱な層だけでなく、すべての人に脅威をもたらす」ことを意味する。イタリア当局は、午前11時から午後6時までの間、警報の出ている都市での直射日光を避けるよう勧告している。

スペインの気象庁も、イベリア半島の気温が45度に達すると予想し、警報を出した。同国の一部では、地表の温度が60度以上に達している。

危険な高温に見舞われる可能性は、夏の欧州旅行の欠点となっている。学術誌ネイチャー・メディシンに最近掲載されたスペインの研究によると、昨年夏の欧州全域の熱波で6万1000人以上が死亡した。死亡率が最も高かったのは、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガルだった。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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