インドの消費者問題・食料・公共配給省は輸出規制について、国内での「十分な供給量を確保」して「価格上昇を抑制する」ことが目的と説明。国内のコメ価格は過去1年間で11.5%、1カ月で3%上昇したと指摘した。
インドは世界最大のコメ輸出国で、世界の輸出の40%を占める。昨年は過去最高の2220万トンを輸出した。
昨年輸出したコメの約半分にあたる1030万トンはバスマティ米ではない白米だ。
ロイター通信によると、今回の輸出禁止措置で最も深刻な影響を受けるのは隣国のバングラデシュとネパール、そしてバスマティ米以外のコメの主要輸入国であるベナン、アンゴラ、カメルーン、ジブチ、ギニア、コートジボワール、ケニアなどのアフリカ諸国だ。
エルニーニョが稲作に悪影響を与えるとの懸念も相まって、世界のコメ価格は2年ぶりの高値となっていると米分析会社グロー・インテリジェンスの報告書にはある。
世界のコメ価格を追跡している国連食糧農業機関(FAO)が発表したデータによると、コメ価格指数は過去12カ月で13.9%上昇した。
食料をめぐっては、ロシアがこのほど黒海穀物合意から離脱。ウクライナは小麦、トウモロコシ、ヒマワリ油の主要供給国であるため、この動きは世界の食料安全保障に悪影響を及ぼすと予想される。ロシアは西側諸国の制裁が自国の穀物や肥料の輸出を妨げていると西側を非難し、これらの輸出は世界の食料供給にとって重要だと主張している。
インドは昨年9月、国内のコメ価格の引き下げと供給確保を目的に、バスマティ米以外の白米に20%の輸出関税を導入した。だが、この措置は輸出抑制につながらず、関税対象のコメの輸出は関税導入後の7カ月間で前年同期比25%増となった。「このような輸出の急激な増加は、地政学的な影響による国際価格の高騰、エルニーニョ現象、他のコメ生産国における異常気象などが原因だ」と消費者問題・食料・公共配給省は指摘した。
(forbes.com 原文)