ホワイトハウスによると、AI開発を主導する7社から「安全で透明なAI技術開発」に向けて自主的に取り組むとの同意を得た。7社はOpenAIとグーグル、マイクロソフトのほか、アマゾン、メタ、Anthropic(アンスロピック)、Inflection AI(インフレクションAI)。
7社は、自社でAIのリスクをどう管理しているかについて他社や政府、研究者との間で情報共有を進めることや、サイバーセキュリティ分野への投資を増やすこと、AIシステムの問題を早期に発見・修正できるよう公開後に第三者機関を通じて検証することを確約した。
さらに、コンテンツがAI製だとわかるように「電子透かし」の仕組みのような「強力」なツールを開発することや、偏見や差別の助長、プライバシーの侵害などAIが社会にもたらすリスクに関する研究を優先させることも約束した。
ホワイトハウスはこれらの取り組みについて「安全性、セキュリティ、信頼性というAIの未来に不可欠な3つの原則の重要性を示すものだ」と説明。企業側がすみやかに実行に移すことに同意したことも明らかにした。
とはいえ、今回の発表では企業側が具体的にどのような措置を講じるのかはほとんど示されていない。また、取り組みはあくまで「自主的」なものとされており、実効性をもたせる仕組みもないとみられるため、政府側が企業側にどのように責任を負わせるのかは不明だ。
ホワイトハウスは、企業側の自主的な取り組みは「責任あるAI開発に向けた非常に重要な一歩」だと強調しつつ、業界の規制に向けた出発点にすぎず、AIの規制を目的とした法整備の必要性を排除するものではないと言及している。AIに関しては「ほかにも多くの仕事が進められている」とし、ジョー・バイデン政権が大統領令を準備していることや、AIを規制する法案を超党派で成立させる方針であることも明らかにした。
テック業界に対する規制強化は米議会で長年、議論が繰り返されてきたが、マイクロソフトの出資を受けるオープンAIが昨年公開した「ChatGPT」の登場をきっかけに生成AIが急速に普及するなか、あらためて喫緊の課題になっている。バイデン政権はかねてAIの規制は重要な優先課題の1つだとしてきた。
(forbes.com 原文)