経営・戦略

2023.07.24 15:30

デバイスに振り回されず、「アプリの流れ」を追え

Forbes JAPAN編集部
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だから個別のケースで考えるよりも、「アプリの流れを追う」ことのほうが重要だと考えています。Oktaでは最初、セールスフォース用のシングルサインオン(SSO)をGoogle Apps向けに開発しました。それを他社にもって行って見せたところ、気に入ってくれたのです。そこから、「御社はどんなアプリを使っているのですか?」と聞いて回り、それらのアプリも統合していきました。

新しいデバイスやプラットフォームが出ると、大きな話題になります。これはテクノロジストが陥りがちな落とし穴なのですが、ふつうのユーザーはそうしたことに我々ほど興味をもったりしません。なぜなら彼らが本当に興味をもっているのは自分が使いたい「アプリ」だけだからです。

そうしたユーザーのニーズを理解することが最も大事なのです。その先に市場があるわけですから。メタがVRプラットフォームの立ち上げ時にアプリをたくさん用意したのも、そうしたことがあってこそですよね。

──デバイスやプラットフォーム、アプリが増えることで、将来的に「デジタル・パスポート」のようなものを使うことは考えられるのでしょうか。

従来のID(身分証明書)とは異なる概念としての「デジタル・パスポート」ですね。自分で管理できて、世界中のあらゆるデジタル・サービス上でシームレスに共有できる製品ならば、Oktaでもかなり力を入れて研究していますよ。


トッド・マッキノン◎Okta共同創業者兼CEO。セールスフォース・ドットコムのエンジニアリング担当上級副社長を経て、2009年に同社で同僚だったフレデリック・ケレストと共にクラウド型のアイデンティティ・アクセス管理サービスを立ち上げた。創業時はリーマンショック直後だったため、スライド13枚で起業理由を妻にプレゼンテーションして説得した逸話をもつ。

オクタ◎2009年創業、米サンフランシスコに本社を置く、クラウド型アイデンティティ及びアクセス管理システム会社。創業者はトッド・マッキノン(CEO)とフレデリック・ケレスト(COO)。「Identity as a Service(IDaaS)」と呼ばれる、クラウドを通じたアイデンティティ管理ソリューションを1万7000社以上に提供している。17年4月、米NASDAQへの上場を果たした。

インタビュー=井関庸介 写真=佐々木康

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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