経営・戦略

2023.07.24 15:30

デバイスに振り回されず、「アプリの流れ」を追え

Forbes JAPAN編集部
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トッド・マッキノン Okta共同創業者兼CEO

コロナ禍でますます身近になったeコマースなどのオンラインサービス。あらゆる業界でデジタル化(DX)が進むなか、利用者が簡単でかつ安全にサービスを使えるようにする「Identity as a Service(IDaaS)」と呼ばれるIDやアクセス管理の重要性が高まっている。そのリーダー企業とも言えるのがOkta(オクタ)だ。

同社は、その性質からさまざまな業界の企業を顧客にもつ。昨今のテクノロジーの潮流をどうとらえているのか。また、経営者はテクノロジーに対してどのようにアプローチをするべきだと考えるのか。

共同創業者兼CEOのトッド・マッキノンに話を聞いた。


──対話型チャットボット「ChatGPT」が話題を呼んでいます。経営者としてどう見ていますか?

「素晴らしい」のひと言に尽きます。それはテクノロジー企業の経営者としてだけではなく、ひとりのテクノロジストとしてもそう思います。

ただ歴史的に、ブレイクスルー(革新的な進歩)が起こるとき、評価されるのはいつだって一部の人たちだけですが、発見そのものは同時多発的、同時並行的に起こるものなのです。かの“発明王”トーマス・エジソンが白熱電球を発明したとき、同じ時期に似たような考えをもって実験している人たちがいました。ライト兄弟が最初の飛行機をつくったときも同様です。ChatGPTにもそうした側面があります。

OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)のGPTの「T」に当たる「トランスフォーマー」の開発につながった論文も、グーグルに在籍していた複数の研究者の手で書かれたものです。私は著者のひとりを知っていますが、その人はグーグルで働いていたとき、昇給も昇進もなかったと冗談めかして話していますよ。そういう現実もあるのです。

──こうした新しいテクノロジーに対して、どのようなアプローチを取られるのでしょうか?

我々のアプローチは、「より多くの人がテクノロジーを使うようになれば、そこには新しいデバイス(端末)やプラットフォーム、アプリが生まれるはずだ」という仮説にもとづきます。もちろん、その端末がニッチな製品になるか、それともゲームなどの特定な領域寄りのものになるか、シナリオに違いは出てくるでしょう。それでも全体的な流れは予測がつきます。
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インタビュー=井関庸介 写真=佐々木康

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年9月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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